外国人労働者の最低賃金と給与設定の実務ポイント

外国人労働者を採用する際には、日本人と同様に「最低賃金」を守ることが法律で義務付けられています。都道府県ごとに異なる地域別最低賃金や、業種ごとに設けられる特定最低賃金などを考慮し、適切な給与設定を行うことが求められます。

また、給与形態によって賃金の換算方法が異なるため、計算方法についても正しく理解しておくことが重要です。本記事では、外国人労働者に適用される最低賃金制度の仕組みと給与決定のポイントを詳しく解説します。

外国人労働者にも適用される地域別最低賃金制度

日本国内の最低賃金の仕組み

日本の最低賃金制度では、全ての労働者に対して、地域別に定められた最低額を下回らない賃金の支払いが求められます。これは外国人労働者にも例外なく適用されます。最低賃金は、都道府県ごとに年1回程度見直されるため、採用時には最新の金額を確認する必要があります。

地域別最低賃金の特徴

  • 都道府県単位で金額が異なる
  • 毎年秋頃に改定される
  • 雇用契約締結時の最新基準に準拠

外国人労働者の給与は、「地域別最低賃金」以上でなければならず、雇用地域によって支給額が変動することになります。

技能実習生・特定技能外国人の最低賃金の決め方

産業別最低賃金との関係

技能実習や特定技能の在留資格で働く外国人については、地域別最低賃金に加え、「産業別最低賃金」も考慮が必要です。特定の業種では、業界ごとに最低賃金が独自に定められており、地域別と産業別の両方を比較して、高い方を基準とする必要があります。

対象となる業種の一例

  • 食品加工業
  • 繊維・衣類関連業
  • 機械器具製造業
  • 小売・流通業

これらの業種に該当する場合、該当地域の産業別最低賃金を確認し、地域別最低賃金よりも高ければ、それを基準に給与を設定します。

給与形態別に異なる最低賃金の計算方法

時給制の最低賃金確認

時給制で給与を支払う場合は、地域別または産業別の最低賃金がそのまま適用されます。例えば、ある地域で最低賃金が1,100円であれば、それ以上の時給を支払う必要があります。

注意点

  • 日々の勤務記録を正確に管理する
  • 支払う時給が常に最低基準を超えているか確認

日給制の場合の時給換算

日給制では、日給を労働時間で割って時給換算を行います。例えば、日給9,600円で8時間勤務の場合、時給は1,200円となります。この時給が最低賃金を上回っているかをチェックします。

月給制の換算方法

月給制の場合は、月の総労働時間を基に時給を算出します。たとえば月給20万円、月の労働時間が174時間であれば、時給は約1,149円となります。地域・産業別の最低賃金と比較して不足がないか確認が必要です。

最低賃金の算出対象と対象外の手当

対象となる賃金項目

最低賃金の計算に含まれるのは、基本給や職務手当など、実質的な労働の対価として支払われる部分です。

最低賃金に含まれる例

  • 基本給
  • 職能手当
  • 業務手当

対象外となる手当

以下のような手当は最低賃金の対象外とされているため、算出から除外する必要があります。

最低賃金に含まれない例

  • 通勤手当
  • 時間外・深夜・休日手当
  • 賞与・一時金
  • 精皆勤手当などの非定常的手当

これらを含めて一見すると賃金額が高く見えても、基本給等の部分が最低賃金を下回っていれば違法となります。

外国人労働者の平均賃金から見える水準感

外国人労働者の給与は、在留資格や業種により大きく異なります。平均的な給与水準を参考にすることで、適正な給与設定の目安が得られます。

2023年度の平均月給(目安)

  • 全体平均:約232,600円
  • 技能実習生:約181,700円
  • 特定技能:約198,000円
  • 専門的・技術的分野:約296,700円

このように、職種や在留資格によって賃金の相場は異なるため、業務内容や期待されるスキルレベルに応じて設定することが望ましいです。

外国人雇用における最低賃金の正しい理解と運用が鍵

外国人労働者の雇用においては、最低賃金に関する正確な知識と実務的な対応が必要不可欠です。労働条件通知書の作成や雇用契約締結時においても、地域・業種・給与形態ごとの最低賃金を正確に反映させることが求められます。

最低賃金を正しく運用するメリット

  • 労務トラブルの予防
  • 法令遵守による企業リスクの低減
  • 労働者の満足度・定着率の向上

雇用する前に、該当する地域・業種の最低賃金を確認し、手当の内訳や支払い方法も含めた適切な給与設定を行うことが、健全な雇用関係の第一歩となります。