特定技能外国人が日本で安心して長期的に働くためには、家族の存在が重要な要素となります。家族滞在ビザを取得すれば、配偶者や子どもと共に生活が可能となり、企業にとっても人材の定着率向上や生産性向上といったメリットが期待できます。
本記事では、家族滞在ビザの基本的な制度から申請の条件、手続き方法、そして企業側が得られる具体的な利点までを詳しく解説します。
家族滞在ビザとは何かを正しく理解する
特定技能外国人の家族が日本で生活するための在留資格
家族滞在ビザは、日本に中長期で在留している外国人が、扶養する家族(配偶者・子)を日本へ呼び寄せる際に必要となる在留資格です。在留期間は扶養者の滞在期間を超えることはできず、「3か月」「6か月」「1年」「3年」「5年」から法務省が審査により決定します。
このビザでは原則として就労は認められていませんが、「資格外活動許可」を取得することで、一定の制限のもと働くことが可能です。
家族滞在ビザの主な取得要件と審査基準
在留資格の適用対象は配偶者と未成年の子ども
家族滞在ビザの対象となるのは、以下のいずれかの家族です。
- 法的に婚姻関係にある配偶者
- 18歳未満の子ども(実子または養子)
内縁関係や婚約者は対象外とされており、法的な婚姻が成立していることが絶対条件です。養子の場合には、正式な養子縁組が完了している必要があります。
特定技能1号と2号で家族帯同の可否が異なる
- 特定技能1号:家族の帯同は原則認められていない
- 特定技能2号:家族と一緒に日本で生活することが可能
なお、特定技能2号は現時点で「建設」「造船・舶用工業」の2分野に限定されており、高度な技能や経験が求められます。
経済力の有無が申請許可の鍵
家族の生活を安定して支える経済力があるかどうかは、審査で最も重要なポイントの一つです。収入の目安は次のとおりです。
| 扶養家族数 | 年収目安 | 月収目安 |
|---|---|---|
| 1人 | 300万円以上 | 25万円以上 |
| 2人 | 350万円以上 | 29万円以上 |
| 3人 | 400万円以上 | 33万円以上 |
| 4人 | 450万円以上 | 37万円以上 |
あわせて、以下の条件も重要です。
- 正社員として安定した雇用形態である
- 社会保険に加入している
- 適切な住宅を確保している
- 過去の納税状況が良好
家族関係を証明する公式書類が必要
家族滞在ビザの申請には、申請対象者との家族関係を明確に示す書類の提出が求められます。主な必要書類は次の通りです。
配偶者の場合
- 婚姻証明書(日本語訳付)
- 配偶者の出生証明書
- 戸籍謄本や住民票(本国のもの)
- 結婚写真などの補足資料
子どもの場合
- 出生証明書(日本語訳付)
- 戸籍謄本や住民票
- 親子関係を証明する書類
- 在学証明書(該当する場合)
家族滞在ビザの申請方法と流れ
本人申請と代理人申請の選択肢がある
申請は大きく分けて2つの方法があります。
自分で申請する場合(本人申請)
扶養者本人が、地方出入国在留管理局に書類を持参して手続きを行います。
必要な書類の例
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 扶養者の住民票・在留カード写し
- 所得証明書や源泉徴収票
- 家族関係を示す証明書
メリットは費用を抑えられることですが、書類の不備や記載ミスが原因で審査が長引く可能性があります。
専門家に依頼する場合(代理人申請)
行政書士や弁護士などの専門家が、申請の手続きを代行してくれます。初めての申請や条件が複雑な場合に有効です。
代理人申請の利点
- 書類の正確性が高まる
- 不備対応がスムーズ
- 審査通過の可能性が上がる
費用は発生しますが、結果的に早く確実に許可を得たい場合には有効な選択肢です。
家族滞在ビザを取得することで得られる企業側のメリット
外国人材の定着率が向上し長期雇用が可能になる
企業にとって、外国人従業員が家族と一緒に生活できる環境は、精神的な安定や職場定着を後押しする大きな要因になります。主なメリットは以下のとおりです。
- 離職率の低下
- 長期雇用による人材育成の効率化
- 従業員のパフォーマンス向上
- 採用競争力の強化(福利厚生面での優位性)
さらに、家族が安心して暮らせることで本人の働く意欲が高まり、結果的に生産性の向上にもつながります。
家族滞在ビザ取得者が就労する場合の注意点
就労には「資格外活動許可」の取得が必要
家族滞在ビザでの就労は原則として認められていませんが、一定の条件を満たすことで就労が可能になります。
包括許可による就労
- 週28時間以内の就労が可能
- 許可申請書、在留カード、パスポートを提出
- 許可取得には通常1週間程度
個別許可の特徴
- 特定業務で週28時間を超えて働く場合に必要
- 高度な専門性や特別な事情が求められる
- 就労契約書や業務内容説明書など詳細資料が必要
雇用時に企業が気を付けるべき管理ポイント
法令遵守のために在留資格の確認が必須
家族滞在ビザ保有者を雇用する際には、在留カードや資格外活動許可の有無を確認し、就労内容や時間を適切に管理することが求められます。
チェックポイント
- 在留カードに「家族滞在」の記載があるか
- 就労許可の有無(シールの有無)
- 就労時間が週28時間を超えていないか
また、以下のような状況においても対応が必要です。
- 就労時間を増やしたい → 「技術・人文知識・国際業務」などへの在留資格変更が必要
- 離婚により家族関係が解消された → 新たな在留資格へ変更、または帰国の検討
まとめ
家族滞在ビザは、外国人従業員が安心して生活を送り、日本で長く働くために欠かせない制度です。企業にとっても、人材の離職防止や定着率向上といった面で多くのメリットがあります。
適切な制度理解とサポート体制を整えることで、外国人材の戦力化をより一層促進できるでしょう。


