特定技能外国人の事前ガイダンスの内容と実施手順まとめ

特定技能外国人を雇用する際、受け入れ機関は「事前ガイダンス」を実施する義務があります。このガイダンスは、外国人労働者が日本で安心して働けるようにするための重要な支援の一つであり、制度で定められた内容を正確に伝える必要があります。適切に実施しないと、受け入れ機関として不適格と判断されることもあるため、内容や方法をしっかり把握することが求められます。

本記事では、事前ガイダンスの概要から詳細内容、実施の注意点、必要書類までを分かりやすく解説します。

事前ガイダンスの概要とタイミング

事前ガイダンスは、雇用契約締結後、在留資格認定証明書の申請前に行う必要があります。1号特定技能外国人に対して、日本での就労・生活に関する情報を提供し、制度への理解を深めてもらうことが目的です。

特定技能制度では、全10項目の支援義務があり、その中でも最初に行うのがこのガイダンスです。形式的に行うのではなく、実際に外国人本人が内容を理解し納得することが大切です。

実施形式と注意すべきポイント

ビデオ通話や対面での実施が原則

ガイダンスは、本人確認ができる方法で行う必要があります。具体的な実施方法は以下の通りです。

  • 対面での面談
  • ZOOMやテレビ電話などのビデオ通話

文書の郵送や、メール送信のみでの実施は認められていません。

言語は外国人が理解できるもので

外国人が内容を理解できることが前提のため、母国語または十分に理解できる言語で行うことが必須です。

  • 通訳を配置する
  • 該当言語を話せるスタッフを確保する
  • 翻訳された資料を活用する

自社で対応が難しい場合は、外部支援機関の利用が現実的です。

義務的に説明すべき内容

事前ガイダンスでは、特定技能外国人に対して最低限説明すべき項目が複数あります。これらは支援義務として制度に明記されています。

労働条件の明示

  • 担当業務の内容
  • 月給・手当・昇給の有無
  • 労働時間・休日・休憩時間
  • 社会保険の加入有無
  • 安全衛生に関する情報

業務に危険性がある場合は、そのリスクと対策についても丁寧に伝えなければなりません。

活動範囲の説明

  • 活動できる業種は技能水準により限定されている
  • 他業務への従事が不可であることの明示

例えば、介護の資格で入国した場合、他業種での就労はできません。

入国・在留手続きについて

  • 在留資格認定証明書の申請・交付
  • ビザの申請と入国までの流れ
  • 国内にいる場合の在留資格変更手続き

必要な書類や期限、入国後の対応も丁寧に伝える必要があります。

金銭トラブル防止に関する説明

  • 保証金や違約金の契約はすべて禁止
  • 家族・親族が支払っている場合も含めて対象
  • 契約の存在がないことを本人と確認し合意を得る

制度上、経済的拘束のない自由な就労が前提となっています。

費用や住居など生活支援の説明

来日前に発生した費用の確認

  • 現地送出機関への支払の有無
  • 支払日、金額、内訳、機関名の確認
  • 外国人本人が内容を十分に理解していることの確認

受け入れ機関が負担すべき費用

義務的支援にかかる費用はすべて受け入れ側が負担する必要があります。以下のような支援内容が該当します。

  • 住居確保支援
  • 空港からの送迎
  • 日常生活に関する情報提供

外国人本人に費用負担をさせてはいけません。

住居の提供内容と説明

  • 社宅の有無
  • 部屋の広さや設備
  • 家賃、光熱費などの自己負担分

契約条件について曖昧な点がないように、事前にしっかり説明することが重要です。

任意的に提供可能な支援内容

事前ガイダンスでは、義務とは別に任意で提供することが推奨されている情報もあります。これにより、外国人がより安心して日本での生活を始められます。

  • 日本の気候や季節の特徴
  • 入国時の服装に関するアドバイス
  • 本国から持ってくるべき物・不要な物
  • 入国後に必要となる初期費用と使い道
  • 作業着や備品など、企業から支給される物の案内

こうした情報も併せて提供しておくことで、就労前の不安を大幅に軽減できます。

ガイダンスの実施時間と目安

事前ガイダンスは、概ね3時間程度の時間を確保することが望ましいとされています。これは情報量が多く、本人が理解するための時間を要するためです。

  • 形式的な説明では不十分
  • 特に初来日の外国人には時間をかけて説明
  • すでに技能実習で在留していた場合でも簡略化は不可

1時間未満の実施では、適正にガイダンスを行ったとは見なされない可能性があります。

確認書の作成と保管義務

署名付きの確認書が必須

ガイダンス実施後には、「確認書」に本人の署名を得て保管する必要があります。これはガイダンスの実施を証明する唯一の書類となります。

  • 参考様式第5-9号に基づく確認書を使用
  • 内容を一緒に確認した上で署名をもらう
  • 提出先や保管期限を事前に把握しておくこと

確認書がない場合、ガイダンス実施が証明できず、支援義務違反と判断される可能性もあります。

まとめ:円滑な受け入れの第一歩として

事前ガイダンスは、特定技能外国人との信頼関係を築くための大切な第一歩です。制度に基づいた正確な情報提供と、丁寧なコミュニケーションを心がけることで、就労後のトラブルを防ぎ、円滑な受け入れが可能になります。

重要なチェックポイント

  • 理解可能な言語で実施する
  • 義務項目をすべてカバーする
  • ビデオ通話や対面での実施に限定する
  • 3時間程度の十分な説明時間を確保する
  • 確認書の署名と保管を忘れない

事前ガイダンスの質は、その後の就労環境や満足度にも直結します。制度を正しく理解し、準備万端で臨みましょう。