特定技能外国人を採用するためには、企業や個人事業主が「特定技能所属機関」として適正な要件と基準を満たす必要があります。加えて、雇用後には支援体制の整備や各種届出義務も課されます。
本記事では、所属機関となるための条件や必要な支援内容、登録支援機関との違いまでをわかりやすく解説します。
特定技能所属機関としての基本要件
所属機関として認められるための条件
外国人材を特定技能で受け入れる場合、雇用主側には明確な基準が設けられています。対象となる事業は、国が定める12の特定産業分野に該当していることが前提となります。
主な要件は以下の通りです
- 特定産業分野に該当していること
- 外国人と適切な雇用契約を締結している
- 法令違反などの欠格事由に該当していない
- 外国人支援の計画と体制が整備されている
- 報酬額が日本人と同等以上である
- 労働時間が一般労働者と同等である
- 社会保険・税の義務を履行している
これらの条件をすべて満たしていない場合、特定技能所属機関として認定されることはできません。
特定技能所属機関が満たすべき細かな基準
欠格事由や過去の実績に対する審査
所属機関となるには、過去の違反歴や雇用実績も重視されます。以下の点は特に重要です。
重点審査項目
- 直近1年以内に非自発的離職者を発生させていない
- 行方不明となった外国人労働者がいない
- 労働基準法や入管法等に違反した事例がない
- 過去5年以内に技能実習の取消し等を受けていない
- 暴力団関係者との関係がない
このような過去の履歴がクリアであることが、所属機関としての信頼性に直結します。
雇用契約と報酬に関する適正な対応
特定技能雇用契約は、外国人の立場を守るため、特に厳格な取り扱いが求められます。
具体的なポイント
- 雇用契約は書面で明示し、内容は明確に説明する
- 報酬は必ず口座振込にて支払い、現金手渡しは避ける
- 日本人と同等の待遇を保証する
- 一時帰国の希望者には有給休暇の取得を認める
適正な雇用契約の履行が、信頼できる所属機関としての基盤になります。
外国人材への支援体制と支援計画の構築
必要な支援内容と担当者の配置
特定技能所属機関は、雇用する外国人に対して生活面・労働面の両方においてサポートを行う必要があります。
主な支援内容
- 来日前および到着後のガイダンス
- 出入国時の空港送迎
- 住宅確保や生活必需品の契約サポート
- 公的手続きへの同行(住民登録・保険加入など)
- 日本語学習機会の提供
- 日常生活や労働環境に関する相談対応
さらに、支援計画を実施するために以下の人員を配置しなければなりません。
必要な体制
- 支援責任者:所属機関の職員または役員の中から選任
- 支援担当者:事業所ごとに1名以上配置
経験や実績のある人材がこれらの役割を担う必要があります。
所属機関に求められる報告義務と法令順守
定期・随時の届出義務
特定技能所属機関には、出入国在留管理局や関連機関に対して、定期的な届出を行う義務があります。これにより、外国人の就労状況や支援体制の適正性がチェックされます。
届出が必要な主な内容
- 雇用契約の状況
- 支援計画の実施状況
- 外国人の在留・労働状況
- 支援担当者の変更や体制の更新
適切な情報提供がなされない場合、是正指導や認可取り消しにつながる可能性があります。
登録支援機関の活用と所属機関との違い
所属機関が支援できない場合の代替策
支援体制を自社で整備できない事業者は、「登録支援機関」に支援業務を委託することが可能です。登録支援機関は、中立的な立場で専門的な支援を行う外部機関です。
登録支援機関が担う主な業務
- 出入国時の送迎
- 住宅確保の補助
- 各種行政手続きの同行
- 日本語教育の機会提供
- 生活オリエンテーションの実施
- 苦情・相談対応(多言語)
所属機関は、これらの業務を委託しつつ、雇用主としての責任を継続して負う必要があります。
所属機関としての準備と確認事項
特定技能所属機関として外国人材を受け入れるには、法令順守だけでなく、実務的な体制や支援計画の整備が不可欠です。受け入れ準備段階から申請に至るまで、以下の点を丁寧に確認しておくことが求められます。
確認すべきポイント
- 自社が該当産業分野に属しているか
- 雇用契約が適切かつ書面で整備されているか
- 支援体制の構築が可能か、または登録支援機関に委託するか
- 欠格事由に該当する事案がないか
- 過去の外国人受け入れ実績があるか
事前にこれらの項目を一つひとつクリアすることで、スムーズに特定技能所属機関としての申請と運用が行えます。長期的に安定した外国人雇用を実現するためにも、正確な知識と体制整備が求められます。


