特定技能外国人を採用する企業には、法務省や厚生労働省などへの複数の届出義務があります。採用時だけでなく、契約変更や離職、在留資格の更新など、状況に応じて適切な手続きが求められます。また、建設業や造船・舶用工業といった分野では、業界特有の追加手続きも存在します。
本記事では、特定技能外国人の雇用に関連する各種届出の種類、提出時期、必要書類、さらに分野別の対応内容まで詳しく解説します。
特定技能外国人の受け入れに伴う基本届出の全体像
特定技能制度の運用において、企業は採用時点から契約終了後まで、複数の届出を求められます。これらの届出は、外国人労働者の適正な雇用管理と、制度の信頼性を確保するために必須です。
基本的な届出の種類
- 四半期ごとに行う「定期届出」
- 契約変更や離職時に行う「随時届出」
- 雇用開始・終了時の「外国人雇用状況届出」
それぞれ提出先や書式、添付書類が異なります。対応が遅れると罰則の対象となることもあるため、早めの準備が重要です。
定期届出の手続きと必要書類の詳細
四半期ごとに提出する定期届出は、継続的な雇用状況を報告するためのものです。受入れ機関または支援機関が、所管の出入国在留管理局へ提出します。
提出時期と方法
| 対象期間 | 提出期間 |
|---|---|
| 1月〜3月 | 4月1日〜15日 |
| 4月〜6月 | 7月1日〜15日 |
| 7月〜9月 | 10月1日〜15日 |
| 10月〜12月 | 1月1日〜15日 |
提出方法は以下のいずれかを選択できます。
- 地方出入国在留管理官署への持参
- 郵送(期限内到着が必須)
- オンライン申請(電子届出システム)
定期届出で求められる書類
- 受入れ・活動状況に関する報告書
- 報酬支払証明書
- 賃金台帳の写し(外国人・比較対象の日本人)
- 面談記録や支援実施状況報告書(自社支援・登録支援機関別)
雇用条件の変更や退職時に必要な随時届出
随時届出は、特定技能外国人の雇用に変更が生じた際に、速やかに情報を届け出るための手続きです。原則として、事象発生から14日以内の提出が必要です。
届出が必要なケース一覧
- 雇用条件(勤務地・業務内容・賃金等)の変更
- 契約満了前の退職・解雇
- 新たな雇用契約の締結
- 支援計画や支援委託契約の変更
- 外国人労働者の行方不明、死亡等
提出書類の一例
- 契約変更に係る届出書
- 受入れ困難に関する報告書
- 支援計画変更届
- 支援未実施に関する理由書 など
随時届出も、定期届出と同様に、郵送・窓口・オンライン申請のいずれかで提出します。
外国人雇用状況の届出義務とその注意点
特定技能に限らず、すべての外国人労働者を雇用する際は、厚生労働省への「外国人雇用状況届出」が必要です。
対象となる外国人の範囲
- 正社員、アルバイト、派遣などすべての形態
- 在留資格を持つ外国人(外交、公用、特別永住者を除く)
提出のタイミングと方法
- 雇用時:翌月10日までに提出
- 離職時:退職日翌日から10日以内に提出
- 提出先:ハローワークへ持参またはWeb申請
この届出は、外国人の雇用状況を国が正確に把握し、再就職支援などの施策に活用するために行われます。
建設業における特定技能外国人受け入れの追加手続き
建設業で特定技能外国人を採用する場合、国土交通省や関連団体への報告義務があります。
建設分野での必須対応
- FITS(国際建設技能振興機構)講習の受講
- 定期巡回の受け入れ
- 離職・帰国・受入困難時の報告
- 建設特定技能受入計画の変更届出
対応のポイント
- 講習は雇用開始から6ヶ月以内に受講必須
- 「外国人就労者管理システム」への登録が必要
- 報告はすべてオンラインで対応可能
これらの手続きを怠ると、採用の継続が困難になるため注意が必要です。
造船・舶用工業分野における採用前確認の必要性
造船・舶用工業では、特定技能外国人の申請前に事業者としての確認を国土交通省から受ける必要があります。
採用前に必要な手続き
- 「造船・舶用工業分野における事業者の確認」の取得
- 確認通知書を取得後、入管への在留申請が可能
この事前確認制度により、分野特有の技能や体制を満たしているかが判断されます。
届出義務違反による罰則とリスク
届出を怠ったり、虚偽の内容を提出した場合は、法的な罰則の対象となります。
主な罰則内容
- 届出をしなかった場合:20万円以下の罰金
- 虚偽の届出:1年以下の懲役または20万円以下の罰金
- 指導や命令に従わなかった場合:改善命令の対象
- 在留資格の取り消しの可能性もあり
企業の信頼性や採用継続に直結するため、届出の内容・期限には十分注意する必要があります。
採用前からの準備が成功のカギ
特定技能外国人の雇用には、多岐にわたる手続きが伴います。定期・随時の届出、雇用状況の報告、分野別の申請など、すべてを的確にこなすためには、採用前から計画的な準備が求められます。
チェックしておきたいポイント
- 四半期ごとの定期届出スケジュール
- 契約変更や退職発生時の即時対応
- 厚労省・国交省・入管への報告ルート
- 分野別の追加手続きの有無
事前に必要書類や提出先、タイミングを把握しておくことで、手続きミスやトラブルを回避し、スムーズな受け入れ体制を整えることが可能です。


