特定技能「素形材産業」の試験・条件と受け入れの流れ

外国人労働者の採用手段として注目される「特定技能制度」の中でも、製造業における「素形材産業」は人材確保が特に課題となっている分野です。

本記事では、特定技能「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」における制度の基本から、受け入れに必要な条件、試験内容、採用フロー、かかる費用までを詳しく解説します。制度活用を検討している企業に向けて、実務に直結する具体的な情報を整理して紹介します。

特定技能「素形材産業」とは何か

製造業で必要とされる外国人材の在留資格

特定技能制度は、日本国内で人材確保が困難な14分野に限定して、即戦力となる外国人材を受け入れる仕組みです。そのうち製造業では、「素形材」「産業機械」「電気電子情報」の3分野が統合され、「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」として1つの分野として扱われています。

この分野では、鋳造や溶接といった素材加工から、電気機器の組立、金属表面処理など、幅広い業務に外国人材が従事できます。

雇用条件のポイント

  • 雇用形態:直接雇用に限定
  • 報酬水準:日本人と同等以上
  • 定員枠:上限49,750人(過去に増枠あり)

外国人材の雇用に際しては、労働条件の公平性や技能のマッチングが求められます。

素形材産業での人材不足と制度創設の背景

深刻な人手不足の実情

製造業の現場では、少子高齢化や若年層の就職忌避によって人手不足が長年の課題です。特に素形材分野は、「きつい・汚い・危険」のいわゆる3K職場のイメージが強く、若年人材の定着が難しい傾向にあります。

このような背景から、一定の技能と日本語能力を持つ外国人材を確保するために、特定技能制度が導入されました。

特定技能で従事できる業務と区分

対応する3つの業務区分

区分主な作業内容
機械金属加工鋳造、溶接、鍛造、仕上げ、塗装、プラスチック成形など
電気・電子機器組立て電気・電子機器の組立て、プリント配線板製造など
金属表面処理めっき、アルミニウム陽極酸化処理など

外国人材は上記のいずれかの区分を選び、その中で複数の作業に従事できます。

以前との制度変更点

従来は19の業務ごとに在留資格が分かれており、従事できる作業が制限されていました。現在は業務区分が統合されたことで、より柔軟な就業が可能になっています。

特定技能資格を取得する方法

技能試験と日本語試験による取得

外国人が資格を取得するには、以下の2つの試験に合格する必要があります。

  • 製造分野特定技能1号評価試験
    • 学科試験:共通・科目別の問題
    • 実技試験:業務に必要な実技能力を評価
    • 合格基準:65%以上
    • 試験時間:合計80分
  • 日本語能力試験(JLPT)N4以上
    • 日常会話がある程度可能なレベル

技能実習2号からの移行

技能実習2号を修了した者は、一定条件を満たすことで試験免除で移行可能です。移行の際には、実習内容と特定技能の業務が対応している必要があります。

受け入れ企業に求められる要件

対象事業所であること

企業は、日本標準産業分類における下記の業種に該当している必要があります。

該当する業種の例

  • 鋳型製造業
  • 鉄・非鉄金属素形材製造業
  • 金属熱処理業
  • 電気・電子機器製造業
  • 情報通信機器製造業

加えて、事業所ごとに過去1年以内の製造出荷実績が必要です。

特定技能協議会への加入

在留資格申請前に、所管省庁が設置する特定技能協議会への加入が義務づけられています。

適切な支援体制の整備

受け入れ企業は、外国人材の生活支援を行う責任があります。支援計画書を作成し、以下の支援を行います。

  • 入出国の送迎
  • 住居や生活環境の整備
  • 銀行口座や携帯電話の契約支援
  • 日本語学習や地域交流の機会提供

ポイント

  • 言語対応が必要(本人の理解できる言語)
  • 登録支援機関への委託も可能
  • 経験や体制が不十分な企業は委託が必須となる場合あり

特定技能外国人の採用フロー

国外在住者を採用する流れ

  1. 人材募集・選考
  2. 雇用契約の締結
  3. 支援計画の策定
  4. 在留資格申請と許可取得
  5. ビザ取得・入国
  6. 就労開始

※申請から就労開始までに数ヶ月を要することがあります。

国内在住者の採用フロー

  1. 人材募集・選考
  2. 雇用契約の締結
  3. 支援計画の策定
  4. 在留資格の変更申請
  5. 許可後に就労開始

※国内在住者は住居手配の負担が少ないケースが多く、スムーズな採用が可能です。

採用にかかる主な費用項目

費用項目相場
送り出し機関手数料20〜60万円(※国により必要)
人材紹介手数料30〜60万円
渡航費実費(国外在住者のみ)
在留資格申請費用10〜20万円
支援委託費用月額2〜4万円
住居初期費用地域や物件による変動
ガイダンス実施費用1.5〜4万円
在留資格更新費4〜10万円(継続雇用時)

※国内在住者の場合、渡航費や送り出し機関手数料は不要になることが一般的です。

まとめ:製造業の人材確保には制度活用が鍵

特定技能「素形材産業」は、深刻な人手不足を補う手段として非常に有効です。従来の技能実習制度よりも自由度が高く、即戦力としての人材確保が可能です。

企業が制度を正しく理解し、受け入れ体制を整えることで、長期的な戦力として外国人材の活用が期待できます。特に製造現場での人材不足に直面している企業にとって、特定技能制度は現実的で実効性の高い選択肢といえるでしょう。