特定技能「航空業」は、空港現場の人手不足を背景に創設された制度で、外国人材を航空分野で受け入れるための在留資格です。
本記事では、特定技能「航空業」の対象業務や受け入れ企業の要件、採用までの手続き、必要な試験や費用の詳細について、初めての採用担当者でも理解しやすいように解説します。外国人材の導入を検討している航空関連企業にとって、実務で必要な情報を網羅しています。
特定技能「航空業」の制度概要
航空業で働く外国人を対象とした在留資格「特定技能」は、一定の技能と日本語能力を持つ人材に限定されています。直接雇用が原則であり、派遣契約は認められていません。
基本条件
- 雇用形態:正社員またはフルタイムの直接雇用
- 受け入れ人数上限:1,300人(今後変更の可能性あり)
- 報酬水準:日本人従業員と同等以上
- 対象分野:
- 空港グランドハンドリング
- 航空機整備
この制度を活用するには、企業側もいくつかの法的・制度的な要件を満たす必要があります。
航空業に特化した人材が求められる背景
航空分野では、慢性的な人手不足が続いており、特に空港現場では即戦力となる人材の確保が課題です。
整備や地上支援業務など専門性の高い業務が多く、国内人材の確保が難しい状況から、制度導入が進められています。
特定技能「航空業」の対象業務
空港グランドハンドリング業務
- 航空機の誘導・けん引補助
- 手荷物・貨物の積み下ろし
- 航空機内外の清掃作業
- 遺失物の確認や機用品の補充
航空機整備業務
- エンジン・装備品の点検・交換
- 客室照明や電線のメンテナンス
- 整備記録の作成や確認作業
関連業務の扱いについて
- 除雪作業や事務作業は、主業務に付随して従事する場合に限り可能
- 関連業務を主業務とすることは不可
特定技能1号と2号の制度比較
| 比較項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 最大5年(更新あり) | 無期限(更新制) |
| 技能レベル | 基礎的な技能 | 熟練した技能 |
| 家族の帯同 | 不可 | 配偶者と子どものみ可能 |
| 永住権申請 | 不可 | 条件により可能 |
| 日本語能力試験 | 必須(JFT-BasicまたはJLPT N4) | 不要(技能試験のみ) |
航空業分野では、現在は2号への移行は設定されていません。
特定技能「航空業」の受け入れ企業要件
外国人材を採用するためには、事業者側が以下の基準を満たしている必要があります。
法令に基づく認可の取得
- 空港内での営業許可証
- 航空機整備に関する国の認定証
- 委託業務がある場合は委託契約書の写し
これらの証明書類は、申請時に提出が必要です。
特定技能協議会への加入
- 航空分野の協議会へ加入し、必要書類をメールまたは郵送で提出
- 入会金は不要
- 遵守事項には、引き抜きの禁止や調査協力などが含まれる
加入していない場合は、採用が認められないため注意が必要です。
外国人への支援体制の構築
- 生活ガイダンスの実施
- 空港への送迎や住居確保の支援
- 日本語学習の案内や相談対応
- 雇用終了時の転職支援
義務支援と任意支援に分かれていますが、義務支援は法律上必須です。
特定技能1号「航空業」の取得要件
外国人が「航空業」分野の特定技能1号を取得するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
技能評価試験と日本語能力試験の合格
- 空港グランドハンドリングまたは航空機整備の技能評価試験
- 日本語能力試験(JFT-BasicまたはJLPT N4)
技能実習2号からの移行
- 空港グランドハンドリングのうち「航空機地上支援作業」の技能実習2号を良好に修了
- 試験は免除されるが、航空機整備分野は移行対象外
試験の詳細と評価基準
試験は筆記と実技の両方で構成されており、日本語で実施されます。
空港グランドハンドリング試験
- 学科試験:ペーパーテスト(30問/45分/合格基準65%)
- 実技試験:イラストなどを用いた判断形式(30分)
航空機整備試験
- 学科試験:〇×式と選択式(30問/60分)
- 実技試験:整備技術に関する判断形式(30分)
いずれも年に数回、国内外で実施されています。
外国人材の採用プロセス
採用の流れは、在住地により若干異なります。
海外在住者を採用する場合
- 求人募集・面接
- 雇用契約締結
- 支援計画の作成
- 在留資格「特定技能」の申請
- 許可後にビザ取得、渡航、入社
国内在住者を採用する場合
- 求人募集・面接
- 雇用契約締結
- 支援計画の作成
- 在留資格変更の申請
- 許可後に就労開始
国内在住者は渡航費用や住居支援の負担が少なく、手続きも短期間で完了することが多いです。
特定技能「航空業」の採用にかかる費用
採用には、複数の初期・継続的な費用が発生します。
主な費用項目と目安
- 送り出し機関手数料:20~60万円(国により異なる)
- 人材紹介手数料:30~60万円
- 渡航費用:実費
- 在留資格申請費:10~20万円
- 住居準備費用:家賃等に応じて変動
- 支援委託費:月2~4万円
- 更新手続き費用:4~10万円
国内採用の場合、渡航費用や送り出し機関手数料は不要です。
制度活用による企業のメリット
特定技能「航空業」を導入することで、次のような効果が期待できます。
期待される効果
- 即戦力人材の確保による現場負担の軽減
- 採用難職種への柔軟な対応
- 安定した人員配置の実現
一方で、法令順守や支援体制の整備など、企業としての管理負担が増す点にも注意が必要です。
まとめ:制度の正しい理解が採用成功の鍵
特定技能「航空業」は、直接雇用かつ専門的業務を対象とした在留資格であり、導入には制度理解と事前準備が不可欠です。
今後の人材確保戦略として、制度の活用を検討する際は、受け入れ要件や支援義務、試験内容などをしっかり把握し、計画的な採用を進めることが重要です。


