介護業界では慢性的な人材不足が続いており、その対策として外国人労働者の活用が進んでいます。外国人の介護職採用には、労働力確保や職場の活性化などのメリットがある一方、文化や言語の違いに伴う課題や、受け入れ体制の整備が求められます。実際に採用を進めるためには、在留資格制度の理解とともに、長期的な雇用を見据えた準備が重要です。
本記事では、介護事業所が外国人労働者を採用する際のポイントや注意点について解説します。
外国人は介護職として就労可能か?
介護職への就労は、定められた在留資格を取得することで可能です。制度上の条件を満たすことで、日本国内で合法的に介護業務に従事することが認められています。
現在、多くの介護施設が外国人の雇用を進めており、その人数は年々増加しています。
介護事業所が外国人労働者を採用するメリット
人材不足の解消に直結する
外国人労働者の採用によって、求人への応募者層が拡大し、人手不足の解消が期待できます。特に地方や夜勤業務など、日本人では応募が少ないポジションでも人材を確保しやすくなります。
期待できる効果
- 求職者数の増加により採用機会が拡大
- 地域や時間帯に関わらず一定の人材確保が可能
- 長期雇用が見込めるため、職場の定着率が向上
意欲的でポテンシャルの高い人材を確保しやすい
多くの外国人労働者は、「日本で技術を学びたい」「家族を支援したい」といった明確な目標を持っています。そのため、勤勉で責任感のある人材が多く、職場での成長も期待できます。
特徴的な傾向
- 高い学習意欲と労働意欲
- 長期間働くことを前提にしている
- 指導次第でリーダー的存在に育つ可能性がある
職場の雰囲気を活性化できる
外国人を受け入れることで、職場内のコミュニケーションが活性化し、従業員の意識改革につながることもあります。多様な価値観が入り交じることで、柔軟な組織文化が形成されやすくなります。
職場への影響
- 新しい視点や文化が組織にもたらされる
- 教育や連携を通じてチームワークが強化される
- 他の職員のモチベーション向上につながる場合もある
国際貢献という社会的意義がある
介護技術を学んだ外国人が母国へ戻り、地域の福祉レベル向上に貢献することもあります。このような流れは、グローバルな人材育成や技術移転にもつながります。
外国人労働者の雇用に伴う課題
手続きや教育体制に負担がかかる
外国人の雇用は、日本人とは異なる手続きや支援が求められます。特に、在留資格の確認や変更、生活支援、語学対応など、採用前後にかかる労力は少なくありません。
主な負担項目
- 在留資格の取得・更新手続き
- 日本語での業務マニュアル整備
- 生活面での支援(住居・行政手続きなど)
- 多言語対応可能な教育体制の構築
文化や価値観の違いによる摩擦
日本人とは異なる価値観やコミュニケーションスタイルにより、現場でのすれ違いが発生することもあります。意思疎通の誤解から業務に支障をきたすケースもあり、双方の歩み寄りが必要です。
よくある文化的ギャップ
- 指示を明確に伝えないと通じにくい
- 相手の立場や空気を読む文化の違い
- 利用者や家族の不安や偏見への対応
外国人が介護業務に就くための在留資格
外国人が日本で介護業務を行うには、適切な在留資格が必要です。資格ごとに求められる条件や就労可能な期間が異なります。
介護分野で活用される主な在留資格
採用時に確認すべき資格
- 特定技能(介護):技能試験と日本語試験の合格が必要。訪問介護は原則対象外。
- 技能実習(介護):OJT形式。実習終了後、特定技能などへ移行可能。
- EPA(経済連携協定):一定の教育を受けた候補者が対象。国家資格取得が前提。
- 在留資格「介護」:養成施設修了と介護福祉士資格取得が条件。
- 留学ビザ:週28時間以内の就労が可能。卒業後、介護資格を取得すれば転換可能。
- 定住者・永住者など:就労に制限がなく、幅広い業務に対応可能。
外国人労働者を雇用する際の準備と注意点
採用前後に必要な準備や対応について、事業所として押さえておくべきポイントを整理します。
採用準備で重要なポイント
- 外国人向けの業務マニュアルを整備
- 受け入れ教育を全職員に実施
- 日本語教育の体制を準備
- 偏見や差別への理解を深める研修を実施
法的対応・制度上の手続き
- 外国人雇用状況の届出をハローワークに提出
- 労働基準法に基づく雇用契約の締結
- 社会保険・労災保険などの手続き
外国人介護人材の採用を成功させるために
外国人労働者の受け入れには、事前の制度理解と継続的な教育支援が不可欠です。特に初めて外国人を採用する施設では、専門知識を持つ外部機関や紹介会社のサポートを活用することで、手続きや教育の負担を軽減できます。
成功のポイント
- 制度理解を深めてから採用を進める
- 文化的な違いを尊重し、柔軟な対応を心がける
- 長期的な視点で、定着と成長を見据えた支援を行う
外国人介護職員の雇用は、介護業界にとって大きな可能性を秘めています。一方で、受け入れ側が制度を正しく理解し、適切な支援体制を整えることが求められます。
単なる労働力の確保にとどまらず、職場の成長や社会的意義を視野に入れた取り組みが、今後ますます重要になるでしょう。


