飲食業界では人手不足への対応策として、外国人スタッフの雇用が年々進んでいます。しかし、外国人の雇用には法的な確認事項や手続きが多数あり、日本人の雇用とは異なる点が多いため、注意が必要です。
本記事では、飲食店が外国人を雇用する際に確認すべき在留資格の種類、在留カードの確認方法、雇用の流れ、注意点について詳しく解説します。
外国人の飲食業界での就労が広がる背景
日本で働く外国人の数は年々増加しており、飲食サービス業でもその傾向は顕著です。言語スキルや多様な文化背景を活かし、多言語対応や異文化理解などの側面で重宝されるケースが増えています。
こうした背景から、外国人材の積極的な雇用は今後も拡大すると見込まれています。
外国人雇用のメリットと活用の効果
外国人を雇用することで、飲食店の業務改善やサービス向上が期待できます。
外国人スタッフを採用する主な利点
- 深刻な人手不足の補填
- 英語・多言語対応による顧客満足度の向上
- スタッフ間での国際的な刺激と成長機会の提供
- 海外展開や異文化対応に向けた経験の蓄積
外国人スタッフをうまく活用することで、日本人スタッフにも良い刺激を与え、職場の活性化につながるでしょう。
飲食店で働ける具体的な在留資格の種類
外国人を合法的に雇用するには、就労可能な在留資格を確認する必要があります。在留資格によって業務内容や雇用形態が異なるため、事前にしっかりとチェックしましょう。
正社員として働ける主な在留資格
- 特定技能(外食業):接客・調理・店舗管理など幅広い業務が可能
- 技能:10年以上の実務経験が求められる専門職(例:熟練調理師)
- 技術・人文知識・国際業務:本社管理部門での翻訳、企画業務など
- 特定活動46号:大学卒業者が日本語力を活かして働ける在留資格
- 定住者・永住者・日本人の配偶者等:職種や雇用形態に制限なし
アルバイトとして働ける主な在留資格
- 留学・家族滞在:資格外活動許可により週28時間以内の就労が可能
- 特定活動(就職活動中):条件付きで短時間勤務が可能
在留カードの確認と偽造防止のチェック項目
外国人を雇用する際は、在留カードの真偽や就労可否を確実に確認する必要があります。
在留カード確認の重要ポイント
- 在留資格と在留期間
- 就労制限の有無
- 資格外活動許可欄の記載
偽造カードを見抜くためのチェック方法
- 数字表記がすべて全角になっているか
- 交付者の角印が印刷ではなく押印されているか
- 傾けたときにホログラムの色や模様が変化するか
- カード裏面の透かしで「MOJ」の文字が見えるか
さらに、ICチップ対応の読み取りアプリを利用すれば、カードの内部情報を確認することも可能です。外観だけでなく内部情報もチェックすることで、より確実に真偽を見極めることができます。
飲食店が外国人を雇用する流れと手続き
在留資格によって採用手続きの流れが異なります。ここでは「特定技能」を例に、国内外からの採用パターンを整理します。
海外から採用する場合の流れ
- 受け入れ基準の確認
- 求人募集・選考・雇用契約の締結
- 支援計画の作成
- 在留資格およびビザの申請
- 渡航・入国
- 就労開始
国内在住者を採用する場合の流れ
- 必要な在留資格の有無を確認
- 雇用契約の締結
- 在留資格変更手続き
- 就労開始
国内にすでに滞在している人材であれば、比較的短期間で採用可能です。一方、海外から呼び寄せる場合は6ヶ月以上かかることもあるため、計画的な準備が求められます。
外国人雇用に関する法的義務と注意点
外国人雇用状況の届出が義務
外国人を雇用・離職させる際は、所定の期限内に「外国人雇用状況届出」を提出する必要があります。違反すると30万円以下の罰金が科されることがあります。
不法就労助長罪のリスク
次のようなケースは不法就労に該当し、雇用側も処罰されるおそれがあります。
- 在留資格のない外国人を雇用した場合
- 許可された活動範囲外の業務を任せた場合
- 在留期限が切れている外国人を働かせた場合
処罰内容には、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が含まれます。在留カードの確認を怠ることは重大な過失と見なされるため、採用前に慎重な確認が必要です。
日本語能力や接客マナーへの対応
日本語力や接客スキルは人によって差があります。採用後すぐに即戦力として期待するのではなく、教育やサポート体制を整えることが大切です。
採用後の支援ポイント
- 日常会話や業務用語の指導
- 接客マナーのマニュアル化
- わからないことを気軽に質問できる職場づくり
- 定期的なコミュニケーションの場を設ける
飲食店特有の言葉遣いや立ち振る舞いは、日本人でも難しいことがあるため、丁寧なフォローが不可欠です。
異文化理解でトラブルを防ぐ
文化や宗教の違いは、勤務態度や習慣に影響します。特に以下のような点には配慮が必要です。
配慮すべき文化・宗教的な違い
- 宗教的理由による食事制限
- 一定時間のお祈りの必要性
- 労働観の違い(助け合い・残業の概念など)
誤解や不満を生まないよう、双方が理解し合える環境をつくることが大切です。日常的に小さな会話を重ねることが、信頼関係の構築につながります。
安全かつ効果的な外国人雇用のために
外国人の雇用は人手不足対策として非常に有効ですが、法律や文化の違いにしっかりと対応することが求められます。
正確な在留資格の確認と、採用後の継続的なサポート体制を整えることで、外国人スタッフが力を発揮できる環境が整います。適切な知識と準備をもって、円滑な雇用を実現しましょう。


