偽造在留カードの確認方法と企業の適切な対応策

外国人労働者の増加に伴い、偽造在留カードを巡る問題が深刻化しています。企業が適切な確認を怠ると、不法就労助長罪などに問われるリスクもあります。安全な雇用を実現するためには、在留カードの基本的な見方と偽造を見抜くための複数の確認手順を正しく理解し、社内体制としても整備することが求められます。

本記事では、在留カードの偽造リスクとその見分け方、企業側の具体的な対応策を詳しく解説します。

在留カードの基本情報とその役割

在留カードは、日本に中長期滞在する外国人に発行される公式な身分証明書です。採用時の確認や就労制限の有無の把握、各種行政手続きにおいて重要な役割を果たします。

在留カードに記載される主な情報

  • 氏名、生年月日、性別、国籍
  • 現住所
  • 在留資格とその種類
  • 在留期間の満了日
  • 在留カード番号
  • 就労制限の有無
  • 顔写真(16歳以上)
  • 資格外活動の許可の有無

これらの情報が雇用予定者の申告内容と一致しているかを確認することが、信頼性のある採用の第一歩となります。

偽造在留カードの実態と流通の背景

外国人の増加とともに、偽造在留カードの流通も拡大しています。カードの外見だけでなく、ICチップの内容まで模倣されるケースもあり、視覚的な確認だけでは見抜けないこともあります。

偽造カードが使われる主な背景

  • 日本国内での不法滞在を続けたいという動機
  • SNSや闇ルートを通じた簡易な入手手段
  • 労働力不足を補いたい企業による確認の甘さ

このような背景により、企業側の確認不足が結果的に違法就労を助長してしまうリスクを生み出しています。

偽造在留カードの確認手順と注意点

雇用前の在留カード確認は、多角的な視点で行う必要があります。見た目のチェックだけでなく、デジタルツールの活用や照会サービスも併用することが望ましいです。

視覚的なチェックポイント

以下の特徴が在留カードに備わっているかを確認しましょう。

  • 傾けると色が変わるホログラム模様
  • 写真の上に浮かぶ立体的な文字(MOJI)
  • 白黒反転する隠し文字
  • 光に当てると現れる透かし模様
  • 裏面の資格外活動や更新情報の有無

こうした要素が欠如しているカードは、偽造の疑いがあります。

在留カード読取アプリの活用

ICチップを内蔵した在留カードは、専用アプリを使って情報を読み取ることで偽造の有無を確認できます。本人の目の前で、同意を得た上で読み取りを行うことが重要です。

アプリ確認時の注意点

  • 券面情報とICチップの情報に不一致がないかを確認
  • 表示データが途中で切れていないか確認
  • アプリで読み取り不可の場合は別の方法も併用

アプリだけに頼らず、目視や照会との組み合わせで確実性を高めることが大切です。

在留カード番号による照会

カード番号が有効かどうかは、管理庁の提供する「番号失効情報照会サービス」で調べることができます。ただし、有効な番号を使った偽造例も報告されているため、単独での確認には限界があります。

在留資格と就労制限の見極め方

在留カードには、その人がどのような活動を行うことが許可されているかが明記されています。特に「就労可否」に関する記載には注意が必要です。

就労制限の見方

  • 「在留資格に基づく就労活動のみ可」:特定の業務に限って就労可能
  • 「資格外活動許可あり」:例えば留学生がアルバイトをする場合など
  • 指定書が添付されている場合:個別に就労条件が設定されている

就労制限の内容と雇用内容が一致していなければ、雇用主側が違法状態を招く可能性もあります。

外国人を雇用する際の企業の実務対応

企業がリスクを回避するためには、雇用前後の適切な確認と書類の管理が求められます。

雇用前の注意事項

  • 在留カードの原本を必ず目視確認
  • 両面コピーを取得し、社内で適切に保管
  • 更新情報や記載内容の変化に注意

雇用後の管理対応

  • カードの有効期限管理(リマインド設定など)
  • 紛失や損傷時の再交付手続きのフォロー
  • 資格変更や更新があった際の再確認

紛失・盗難時の対応手順

  • 14日以内に再交付申請を実施
  • 必要書類の準備(遺失届出証明書・パスポート・顔写真など)
  • 管理局での再発行手続きに同行するなどサポートを行う

再交付申請が遅れた場合、罰金や懲役の対象となるため、企業側でも管理体制の整備が必要です。

違法雇用を防ぐためのリスク管理

在留カードの確認を怠ることで、企業が法的責任を問われることがあります。特に不法就労助長罪に該当した場合、以下のような処罰が科されます。

  • 3年以下の懲役
  • 300万円以下の罰金
  • 双方の適用(法人・雇用主ともに対象)

違法行為に加担することがないよう、採用担当者への教育も含めた社内体制の強化が求められます。

安全な外国人雇用のために

在留カードの確認は、単なる手続きではなく、企業が適切に責任を果たすための重要な業務です。偽造の見抜き方や就労可否の判断など、複数の確認手段を組み合わせて総合的に判断することが求められます。

雇用にあたっては以下の点を徹底しましょう。

  • 視覚的・デジタル両面で在留カードを確認
  • 就労資格と雇用条件の整合性を確認
  • 書類の保管と更新期限の管理体制を整備
  • 採用担当者向けの教育・マニュアルの整備

これらの対策を講じることで、企業は安心して外国人労働者を受け入れ、健全な労働環境を築くことができます。