木材産業における特定技能制度は、慢性的な人材不足を補うために導入された制度です。この制度を活用することで、外国人材の受け入れが可能になりますが、企業側には多くの準備や法的な対応が求められます。外国人材の採用から在留資格取得、就労後の支援までを段階的に把握し、適切に対応することが重要です。
本記事では、特定技能「木材産業」の制度内容、雇用までの手順、実際の雇用時における注意点を網羅的に解説します。
木材産業における特定技能制度の概要
木材産業は2024年に新たに特定技能1号の対象分野に加わりました。現在、2号は適用されておらず、最大就労期間は5年です。対象となる外国人材は、特定の技能試験と日本語試験をクリアし、直接雇用されることが前提となっています。
対象業務は以下の通りです。
- 製材業や合板製造業に関連する木材加工
- 原材料の搬入・受け入れ作業
- 検査や清掃といった付随業務
これらの業務以外への従事は認められていないため、役割の明確化が必要です。
木材産業の人手不足と外国人材活用の必要性
木材関連業界では、年々就業者が減少し、若年層の割合も低水準にとどまっています。この状況は、労働環境の厳しさや安全面の課題が背景にあります。特に以下の点が指摘されています。
- 就業者の高齢化と若手の定着率の低下
- 重労働・高リスク作業による人材離れ
- 地域偏在による求人難
こうした課題に対応するため、外国人材の採用が現実的な選択肢となっており、制度を活用する企業が増加傾向にあります。
特定技能「木材産業」の受け入れ要件と準備事項
受け入れ企業に求められる条件
外国人材を受け入れる企業には、次の条件が課されています。
- 木材産業特定技能協議会への加入
- 協議会の指針に沿った雇用管理
- 農林水産省や関係機関への報告・協力体制の構築
- 登録支援機関との連携(必要に応じて)
- 外国人材の直接雇用(派遣・請負は不可)
これらの要件を満たさない場合、制度の趣旨に反するとみなされ、処分対象になる可能性もあります。
外国人材が取得すべき要件と試験内容
技能試験と日本語試験のクリアが前提
特定技能1号として就労するには、以下2つの要件を満たす必要があります。
- 木材産業特定技能1号測定試験の合格
- 日本語能力試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic A2相当)の合格
木材産業特定技能1号測定試験の詳細
- 内容:木材加工や安全衛生に関する知識と実技
- 試験方式:CBTまたはペーパーテスト
- 問題数:学科32問+実技3問
- 合格基準:総合得点の65%以上
日本語能力の基準と目的
- JLPT N4:基本的な日本語を理解できるレベル
- JFT-Basic A2:日常生活に支障がない会話能力
言語スキルは、安全な作業や社内コミュニケーションのためにも重要視されます。
特定技能外国人の採用ステップと実務手順
採用から在留資格取得までの流れ
- 受け入れ準備
- 求人条件、支援体制、業務内容の整理
- 人材募集・面接
- 紹介会社や現地機関を活用し、通訳体制も整備
- 雇用契約の締結
- 契約書は日本語と母国語の両方で作成
- 在留資格の申請
- 国内人材:在留資格変更申請
- 海外人材:在留資格認定証明書の申請
契約後のフォローも重要であり、言語支援や生活面の準備を早めに行うことで、定着率の向上が期待できます。
外国人材を雇用する際の実務上の注意点
雇用に際して押さえるべきポイント
外国人材の雇用にあたり、以下の点を特に注意する必要があります。
- 協議会への加入義務
- 加入後も継続的な情報提供や対応が求められます。
- 正社員雇用が前提
- アルバイトや派遣での雇用は認められていません。
- 業務範囲の明確化
- 該当する業務以外を任せると制度違反となります。
- 作業へのスムーズな定着支援
- 業務マニュアルの整備(母国語対応)
- OJTによる技術指導
- 生活支援体制の構築
- 住居や生活インフラの確保
- 各種手続きの同行支援
- 日本の文化やマナーに関する情報提供
登録支援機関の活用について
自社だけでのサポートが難しい場合は、登録支援機関に委託するのが有効です。以下のような支援が受けられます。
- ビザ手続き代行
- 入国・生活支援
- 行政報告の代行業務
制度に詳しい外部機関との連携により、リスクの軽減と運用の効率化が期待できます。
安定した雇用と長期的な人材活用のために
特定技能制度を活用することで、慢性的な人材不足の解消が期待できます。しかし、制度の運用には多くの知識と準備が求められます。採用の前段階から雇用後のフォローまで一貫して対応できる体制を整えることが、外国人材の円滑な定着と、企業全体の生産性向上につながります。
今後の木材産業を支える人材戦略の一つとして、特定技能制度の活用は非常に有効な選択肢となるでしょう。採用前に制度全体の流れと注意点を把握し、計画的に進めることが求められます。


