育成就労制度の施行時期と技能実習制度からの移行ポイント

2024年に公布された育成就労制度は、外国人材の人材育成と長期的な就労を目的とする新たな制度です。技能実習制度で指摘されていた人権や労働環境の課題を踏まえ、受け入れ企業と外国人双方にとって持続可能な制度として設計されています。

本記事では、育成就労制度の施行スケジュール、技能実習との主な違い、企業が押さえるべき実務上の対応点までを整理して解説します。

育成就労制度の施行は2027年6月までに開始予定

育成就労制度は2024年6月に法案が公布され、今後3年以内に政令で施行日が定められる見込みです。完全施行は2027年6月20日までに段階的に実施される予定です。

導入までのスケジュール

  • 2024年6月:関連法公布
  • ~2027年6月:制度の段階的導入と環境整備
  • 施行日:政令により今後正式決定

企業は、施行前から情報収集を行い、社内体制の整備を進めておくことが重要です。

育成就労制度と技能実習制度の違いと比較

新制度は技能実習制度とは目的や制度設計が大きく異なります。技能実習制度は国際貢献を前提とする一時的な滞在を想定していましたが、育成就労制度は日本国内での人材確保とキャリア形成を支援します。

制度目的の違い

  • 技能実習制度:開発途上国への技能移転が主目的
  • 育成就労制度:日本国内の人材育成と就労を目的

この違いにより、在留期間満了後の進路や制度の運用方法も大きく変化します。

転職の自由が認められる条件

育成就労制度では、一定の条件を満たすことで転職が可能になります。

  • 同一機関での就労が1年以上(職種により異なる)
  • 技能検定の基礎級に合格
  • 日本語能力試験でA1レベル以上の合格
  • 転職先が要件を満たしている

企業は、離職リスクを想定した育成体制や待遇改善の施策が求められます。

対象職種の範囲と受け入れ分野

育成就労制度では、特定技能と同様の16分野が対象とされます。これは技能実習制度の91職種から整理され、より産業ニーズに沿った構成となっています。

育成就労の対象分野(一部)

  • 建設業
  • 農業
  • 介護
  • 外食業
  • 自動車整備
  • 飲食料品製造業
  • 宿泊
  • ビルクリーニング
  • 鉄道、林業など(2024年追加)

特定技能制度との整合性が取られているため、スムーズな制度移行が可能です。

特定技能制度との違いと連携の仕組み

育成就労制度は、最長3年間の就労期間を経て、特定技能1号や2号への移行を想定しています。制度設計の時点から両制度の接続性が重視されています。

比較ポイント

項目育成就労制度特定技能制度
目的人材育成+人手不足対応人手不足対応
在留期間原則3年(延長なし)最大5年、2号で無期限可能
転職条件付きで可能条件付きで可能
対象分野特定技能と同一特定技能16分野
日本語要件N5(A1)相当以上N4以上(分野により追加要件あり)

特定技能への円滑な移行が設計されているため、外国人にとっても明確なキャリアパスが描きやすくなっています。

育成就労制度の導入に伴うメリット

新制度は、企業と外国人労働者の双方にとって複数のメリットがあります。

外国人材の定着とキャリア形成

  • 長期的な就労が可能な制度設計
  • 特定技能2号で家族の帯同も可能
  • 入国時から一定の日本語能力が求められるため、職場でのコミュニケーションが円滑

企業側のメリット

  • 長く働く人材の確保が可能
  • 業務継続性が高まり教育コストの回収がしやすい
  • 制度的にキャリアパスが明確なため、教育・評価制度の導入がしやすい

育成就労制度の課題と企業が注意すべき点

導入により企業の対応負担が増すことは否めません。制度変更に備え、現行の受け入れ体制を再点検する必要があります。

想定されるデメリット

  • 初期の採用・教育コストが増加
  • 転職自由に伴う離職リスク
  • 不法就労助長罪の罰則強化により、法令順守が一層求められる

注意すべき制度設計上のポイント

  • 従来より受け入れ対象職種が絞られるため、制度対象外の業種では採用が困難に
  • 教育体制(日本語・技能・生活支援)の整備が求められる
  • 支援機関との契約、外部監査対応など運用面の手間が増す

受け入れ企業と外国人材の主な要件

制度活用にあたっては、受け入れ企業・外国人労働者の双方に明確な基準が設けられています。

企業の要件

  • 安定した財務状況
  • 労働関連法令違反の履歴がないこと
  • 日本人と同等以上の待遇の確保
  • 教育体制・生活支援体制が整備されている
  • 認可を受けた支援機関との契約

外国人材の要件

  • 18歳以上で健康状態が良好
  • 日本語能力試験N5(A1)以上
  • 特定国籍に該当していること(送出国との協定による)

まとめ

育成就労制度は、外国人労働者のキャリア形成と労働環境の改善を両立する新しい受け入れ制度として注目されています。

企業にとってはコストや体制整備など新たな課題もありますが、特定技能制度と連携した柔軟な人材運用が可能になります。制度施行に向け、今から準備を進めることが安定した外国人材確保につながります。