特定技能外国人の一時帰国時に必要な対応と注意点

特定技能の在留資格で働く外国人が一時帰国を希望した場合、企業側には事前準備と制度理解が求められます。みなし再入国許可の取得方法、休暇中の対応、脱退一時金の申請条件、再入国時の注意点など、正しい知識がなければトラブルを引き起こす可能性があります。

本記事では、特定技能外国人の一時帰国に際して企業が把握しておくべき手続きや注意点を、制度ごとにわかりやすく整理しています。

特定技能外国人の一時帰国は柔軟な休暇対応が必要

雇用主がすべき対応と注意点

特定技能外国人が一時帰国を申し出た場合、原則として有給休暇を使って対応します。有給がすでに使い切られている場合は、無給休暇の取得を認める必要があります。

企業側が一時帰国を理由に休暇を拒否することはできません。日本の労働基準法が適用されているため、日本人労働者と同様の休暇取得の権利があるからです。

対応時のポイント

  • 有給休暇の残日数を確認する
  • 有給がない場合は無給休暇で対応
  • 就業規則や雇用契約書に休暇対応を記載
  • 一時帰国のスケジュールや連絡手段の明確化

これらを事前に定めておくことで、トラブルの防止につながります。

みなし再入国許可の正しい手続き方法

再入国時に必要な確認事項

特定技能外国人が再び日本に戻る予定で一時帰国する場合は、「みなし再入国許可」の取得が不可欠です。この手続きを行うことで、在留資格を維持したまま再入国できます。

空港での具体的な手続き方法

  • 出国時にEDカードの「再入国予定」にチェック
  • パスポートと在留カードを審査官に提示
  • 特別な書類提出や事前申請は不要

シンプルな手続きではありますが、忘れて出国してしまうと在留資格と期間が共に消滅します。その場合、再来日はできなくなり、改めてビザ申請からやり直す必要があります。

手続き忘れのリスクと再申請の負担

  • 在留資格の失効
  • 新たな在留資格取得のための時間と費用
  • 雇用再開の遅延や採用計画の変更

企業は、出国前に本人へ明確な説明とチェックリストの提示を行うことが重要です。

一時帰国に伴う企業の対応と支援内容

空港送迎や書類準備のサポート

支援計画の一環として、空港への送迎にかかる費用は受入企業が負担する義務があります。

実際の支援内容

  • 空港までの送迎費用の負担
  • 一時帰国に関する説明資料の作成
  • 必要書類(EDカード記入例・再入国説明資料)の提供

送迎そのものは義務ではありませんが、空港利用に不慣れな外国人労働者にとって、同行などの配慮も検討すると安心感につながります。

脱退一時金の申請条件と手続きフロー

外国人労働者が申請できるケース

一時帰国後、特定技能外国人が就労を終了して本国に帰る場合、脱退一時金を申請できる可能性があります。これは日本の年金制度に一定期間加入していた外国人に対する払い戻し制度です。

申請できる条件

  • 日本国籍を有していない
  • 厚生年金・国民年金の保険料を6か月以上納付
  • 老齢年金の受給資格(原則10年)を満たしていない
  • 最後の被保険者資格喪失から2年以内である
  • 過去に障害年金の受給歴がない

手続きの進め方と企業の関わり方

申請は帰国後、本人が行うのが一般的ですが、企業が代理申請のサポートをするケースもあります。

  • 退職時に必要書類をまとめて渡す
  • 翻訳サポートや申請書類の作成補助
  • 窓口への申請方法の説明

制度を活用することで、本人にとっては大きな経済的支援になりますが、再来日時にトラブルの原因になることもあるため、雇用契約の再構築計画と合わせて対応することが求められます。

再入国トラブルを避けるための事前対策

よくあるトラブル事例と予防策

手続き漏れや契約終了の誤解から、再入国時に入国審査でトラブルになるケースがあります。特に雇用契約終了後の帰国と再雇用時に注意が必要です。

企業と本人の間で確認すべきこと

  • 一時帰国中の雇用契約の状態(継続か終了か)
  • 再雇用時の契約開始日と雇用条件
  • 再入国理由の説明準備(日本語・母国語両方)

一時帰国中に脱退一時金を受け取り、再入国を目指す場合には、入管での説明が必要になる場面もあります。企業としても本人に対して明確なガイドを提示し、必要に応じて文書で用意しておくと安心です。

在留期間の通算と一時帰国の影響

特定技能1号の5年間に関する注意

特定技能1号の在留期間は「通算5年」でカウントされます。つまり、日本国外に一時的に出ていた期間もこの通算期間に含まれます。

  • 1年出国しても、在留期間は消化される
  • 通算期間を誤って認識すると不法滞在の原因になる

特に繁忙期と閑散期のある業種では、一時帰国のスケジュールをしっかり管理しなければ、再入国できたとしても在留期間の延長に制限が出てしまう可能性があります。

農業や漁業分野では特例的に年間半分の就労と帰国を繰り返すことで、通算10年まで在留可能な場合もあります。

特定技能外国人の一時帰国を安全に進めるために

特定技能外国人が一時帰国する際には、企業側が制度の正確な理解と明確な対応を行うことが不可欠です。

押さえておくべき対応ポイント

  • 休暇は有給・無給を問わず柔軟に対応
  • みなし再入国許可の手続き支援
  • 脱退一時金の説明と書類準備
  • 空港送迎や再入国説明資料の提供
  • 在留期間の通算管理と記録保持

事前準備を怠ると、再入国トラブルや不法滞在、雇用の中断など、さまざまな問題が発生します。外国人労働者と企業が互いに信頼関係を築き、安全かつ円滑な就労継続のための体制を整えることが、長期的な安定につながります。

制度の変化にも対応できるよう、最新情報を継続的に確認し、必要に応じて専門家への相談も視野に入れましょう。