外国人を日本で雇用するためには、適切な就労ビザを取得する必要があります。就労ビザは活動内容によって16種類に分かれており、それぞれ取得条件や在留期間、審査内容が異なります。
本記事では、就労ビザの全体像を理解したい方向けに、各ビザの特徴や取得手続き、雇用時の注意点などを整理して解説します。適切な在留資格の確認は、法的リスクを避けるためにも非常に重要です。
就労ビザとは何か?外国人の雇用に必要な在留資格
日本で働く外国人は、「就労可能な在留資格」を取得していることが条件です。これは、入国審査で使われるビザ(査証)とは異なり、滞在中に行う活動内容を定める法的な資格です。
在留資格とビザの違い
- ビザ(査証):日本に入国するための許可証。日本大使館・領事館で発行される。
- 在留資格:日本での滞在と活動内容を定める資格。入国後に出入国在留管理局が管理。
就労ビザは、在留資格の中でも「報酬を受ける活動」が認められているものを指します。
日本で認められる就労ビザの種類と特徴
2024年時点で認められている就労ビザは16種類あり、それぞれ対象業務や取得条件が異なります。
主な就労ビザの特徴一覧
以下に、代表的な就労ビザの概要を示します。
特定技能
- 労働力不足の業界において就労が可能
- 技能と日本語の試験合格が必要
- 特定技能1号(12分野)と2号(11分野)がある
- 最長在留期間:5年(2号は更新可能)
技術・人文知識・国際業務
- ITエンジニア、通訳、経理、デザイナーなどが対象
- 大学卒業や専門学校卒で関連分野の学歴が必要
- 更新制限なし、最長5年の在留期間
技能
- 外国料理の調理師、ソムリエ、スポーツトレーナーなどが対象
- 実務経験が必須(学歴は問わない)
経営・管理
- 会社設立・経営に携わる人向け
- 資本金や事業計画の提出が必要
- 最短3カ月から5年までの在留期間
教授
- 大学や高等教育機関での教育・研究活動が対象
- 教授、准教授、助手など
興行
- 俳優、歌手、モデル、スポーツ選手などが対象
- マネージャーや照明スタッフなど裏方も含まれる
- 2023年より取得要件が緩和されている
技能実習
- 技術の習得を目的とする研修制度
- 労働力確保を目的とした在留資格ではない
- 原則として帰国前提、永住は不可
その他の就労ビザ(抜粋)
- 介護:介護福祉士資格が必要
- 報道:記者、ディレクターなど報道関係者
- 教育:小中高での語学指導など(大学は「教授」)
就労ビザの申請手続きと流れ
新規申請の流れ
外国人が日本に初めて入国して働く場合、以下の手続きが必要です。
- 受け入れ企業が在留資格認定証明書を申請
- 証明書が交付されたら外国人本人へ送付
- 本人が海外の日本大使館でビザを申請
- ビザ発給後、日本へ入国
申請から入国まで通常1〜3カ月程度かかるため、早めの準備が推奨されます。
必要書類(例:技術・人文知識・国際業務)
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 写真(4cm×3cm)
- 雇用契約書または内定通知書
- 卒業証明書または成績証明書
- 専門学校卒業者の場合、専門士の称号を証明する書類
在留資格の変更申請
すでに日本に在留している外国人が就労ビザに切り替える場合は「在留資格変更許可申請」を行います。
- 管轄の出入国在留管理局で申請
- パスポートと在留カードの提出が必要
- 許可後に新しい在留カードが交付される
審査にかかる期間の目安
就労ビザの審査期間は在留資格の種類によって異なります。
審査期間の例(2023年データ)
| 在留資格 | 審査日数(平均) |
|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 約60日 |
| 経営・管理 | 約90日 |
| 特定技能(1号) | 約62日 |
| 興行 | 約28日 |
| 技能実習 | 約30〜45日 |
※時期や申請内容によって変動するため、最新情報の確認が必要です。
外国人雇用時の注意点と法的リスク
雇用前に確認すべき重要ポイント
外国人を雇用する際は、以下の点を確認することで不法就労や行政指導を防げます。
アルバイトには資格外活動許可が必要
- 本業以外の仕事をするには個別の許可が必要
- 留学生などは週28時間以内まで認められている
給与は日本人と同等以上であること
- 最低賃金を下回る設定は違法
- 同職種の日本人と同等以上の条件で雇用する必要がある
就労内容がビザに合っているかを確認
- 取得した在留資格の範囲外での勤務は認められない
- 違反した場合、企業側に「不法就労助長罪」が適用される可能性あり
就労可能なその他の在留資格
就労ビザ以外にも、自由に働ける在留資格が存在します。
制限のない在留資格
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
これらは、日本での生活基盤が強く、就労制限が設けられていません。どのような業務にも従事可能です。
特定活動ビザの一部
- 指定された職種でのみ就労可能(例:ワーキングホリデー)
- 就労の可否はパスポートの「指定書」で確認
まとめ:外国人雇用はビザの正しい理解が鍵
- 就労ビザは16種類あり、業務内容に応じて使い分けが必要
- 申請方法や必要書類はビザの種類によって異なる
- 雇用前に在留カードの確認と条件の理解が必須
- 不適切な雇用は企業にも法的リスクがあるため注意が必要
外国人雇用は、正しい制度理解と適切な管理によって、企業にとって大きな戦力となります。複雑な制度も、事前に情報を整理し、適切に対応することで円滑な受け入れが可能です。


