外国人の強制送還の理由と防止策を詳しく解説

外国人を雇用するうえで見過ごせないのが、強制送還のリスクです。強制送還は、在留資格の違反や不法就労、犯罪行為などが原因で、本人だけでなく雇用側にも大きな影響を及ぼします。日本への再入国が一定期間制限されるため、企業は労働力を一時的に失うことにもつながります。

本記事では、強制送還の概要や手続きの流れ、よくある理由、再入国制限の期間、そして企業側が講じるべき予防策について詳しく解説します。

外国人が対象となる強制送還制度の基本

強制送還の制度概要

日本に在留する外国人が法律に違反した場合、行政手続きにより母国への退去を命じられることがあります。これが「強制送還」です。強制送還には以下の2つの制度があります。

  • 退去強制:違法行為が確認された場合に、行政命令によって強制的に退去させる制度
  • 出国命令:比較的軽微な不法滞在者が自発的に出頭し、身柄の拘束なしで出国できる制度

どちらも出入国在留管理庁が管轄し、法的な手続きを経て実行されます。

強制送還の主な理由とそれぞれの注意点

犯罪行為による退去の対象

外国人が重大な犯罪を起こし、有罪判決を受けた場合、強制送還の対象となることがあります。具体的な対象犯罪の一例は以下の通りです。

  • 暴力行為(傷害・殺人・暴行など)
  • 財産犯(窃盗・詐欺・強盗など)
  • 偽造・変造・密入国などの違法行為

判決内容にかかわらず、一定の犯罪歴が確認されれば退去の可能性が高まります。

不法就労による強制送還のリスク

在留資格が就労を許可していない外国人が働くと、不法就労となり強制送還の対象になります。次のようなケースは注意が必要です。

  • 留学生が資格外活動許可なしでアルバイトをする
  • 就労資格がない短期滞在者が働く
  • 許可された職種以外の業務に従事している

在留資格の内容をしっかり確認し、職務内容と一致しているか定期的にチェックすることが重要です。

不法滞在がもたらす影響

在留期限を過ぎても出国せずに滞在している場合、不法滞在として扱われます。主な事例は以下の通りです。

  • 在留カードの有効期限が切れている
  • 出国予定日を過ぎて滞在を継続している
  • 在留資格を持たずに入国し、滞在している

不法滞在は本人の意思にかかわらず違反と判断され、強制送還が実施されることがあります。

退去強制と出国命令の手続きの違い

退去強制の進行手順

退去強制の場合は、以下の流れで手続きが進行します。

  1. 入国警備官による違反調査
  2. 収容令書に基づく身柄の収容
  3. 入国審査官による事実確認と審査
  4. 退去強制令書の発付
  5. 指定された方法で送還

この手続きでは身柄を拘束されるため、本人や家族にとって精神的な負担が大きくなります。

出国命令の手続きの特徴

出国命令制度は、比較的軽度の不法滞在者に適用され、以下のような手続きで進みます。

  1. 外国人が自主的に出入国在留管理庁へ出頭
  2. 調査後、出国命令が適用されると「出国命令書」が交付
  3. 2週間以内を目安に自費で出国

この制度の特徴は、手続き中に身柄を拘束されないこと、再入国までの禁止期間が短いことです。

強制送還の費用と負担者の違い

費用の負担先とその条件

強制送還にかかる費用は、基本的に以下の3者のいずれかが負担します。

  • 本人負担(自費)
    • 原則として本人が航空券を購入し帰国する
  • 国費負担
    • 本人が経済的に帰国できない場合は国が負担
  • 運輸業者負担
    • 自国への入国を拒否されたり逃亡した場合に発生することがある

実際には、多くのケースで本人による自費負担が求められます。

再入国の制限期間とその影響

上陸拒否期間の違いに注意

強制送還された外国人の再入国には制限がかかります。適用される期間は手続きの種類によって異なります。

  • 退去強制による送還
    • 初回:5年間入国不可
    • 2回目以降:10年間入国不可
  • 出国命令による送還
    • 原則1年間入国不可

この期間を過ぎれば再入国申請は可能ですが、審査には時間がかかる場合があります。

外国人の強制送還を防ぐために企業ができること

雇用側が取るべきチェック項目

外国人を雇用する企業は、以下のような対策を講じることで、強制送還リスクを未然に防ぐことができます。

  • 在留カードの原本を確認し、コピーを保管する
  • 在留資格と職務内容が一致しているかを定期的に確認
  • 在留期限が近づいた際は本人に更新を促す
  • 留学生には資格外活動許可を確認し、週28時間の労働時間を厳守
  • 日常的に不審な行動やトラブルに巻き込まれていないか見守る

また、入管法違反が判明した場合、雇用主も不法就労助長罪に問われる可能性があるため、慎重な対応が求められます。

まとめ

外国人の強制送還は、在留資格の違反や不法就労、犯罪行為などにより実施される制度です。退去強制と出国命令では手続きや再入国までの期間に違いがあり、企業側もその影響を受けることになります。

安定した外国人雇用を実現するには、在留資格の確認や労働管理を徹底し、リスクを未然に防ぐ姿勢が重要です。正しい知識と適切な対応で、雇用側・外国人双方にとって安心できる就労環境を整えましょう。