日本では深刻な人手不足に対応するため、外国人労働者の活用が急速に進んでいます。とくに製造業やサービス業、小売業といった業種では、外国人材が現場の支えとなっています。
本記事では、受け入れが多い業種や必要な在留資格、採用時の注意点、採用にかかる費用まで詳しく解説します。今後の外国人採用を検討する企業にとって、実務に役立つ内容をまとめました。
外国人労働者が多く働く業種と雇用の背景
労働人口の減少に対応する手段として、外国人材の活用は非常に効果的です。企業は即戦力となる人材を確保できる一方で、文化的背景や制度面での準備も求められます。
外国人労働者が多い業種の特徴
現在、特に多くの外国人が就労している業種には以下のような特徴があります。
- マニュアル化された業務が多く、言語依存度が比較的低い
- 人手不足が慢性的で、現場での即戦力が求められる
- 外国人材にとっても就労機会が多く、働きやすい環境がある
製造業での外国人労働者の活用が進む理由
製造業は外国人の受け入れが最も進んでいる分野のひとつで、全体の約3割を占めています。食品加工や部品製造など幅広い作業工程で活躍しています。
製造業で雇用できる主な業務内容
- 生産ラインの操作や組み立て作業
- 機械の操作や保守管理
- 品質管理、検査業務
- 製品設計や開発(専門性の高い人材)
製造業に必要な在留資格
- 技能実習:実務を通じて技能を習得する制度
- 特定技能1号:即戦力として一定の技術を持つ人材が対象
- 技術・人文知識・国際業務:専門性が求められる業務に対応
現場の人手不足に対応する手段として、今後も重要性は増していくと考えられます。
サービス業で増加する外国人スタッフの役割
宿泊業や飲食業を中心としたサービス分野でも、外国人材の受け入れが拡大しています。観光やインバウンド需要の影響もあり、多言語対応可能なスタッフのニーズが高まっています。
サービス業での主な就労分野
- ホテルのフロントや接客業務
- 飲食店でのホール・キッチン業務
- 清掃やビルメンテナンス
- 介護福祉分野での支援業務
使用される主な在留資格
- 特定技能:宿泊、外食、介護分野などが対象
- 介護:介護福祉士取得者など専門人材向け
- 技術・人文知識・国際業務:通訳や観光案内など
サービス現場では、外国人スタッフによって顧客満足度の向上や業務効率化が進んでいます。
小売・卸売業における外国人労働者の就業状況
コンビニ、スーパー、アパレル店など、小売・卸売分野でも外国人の活躍が目立ちます。消費者との接点が多いこの業界では、言語対応力が強みとなります。
小売業での代表的な職種
- 接客・販売業務
- 商品管理、棚出し作業
- 通訳や多言語対応スタッフ
- マーケティングやPR業務(高度人材)
必要な在留資格の種類
- 資格外活動:留学生のアルバイトが該当
- 技術・人文知識・国際業務:販売企画や顧客対応など
- 特定技能:対象業種拡大により採用の幅が広がっている
都市部を中心に、小売業は今後も外国人材の活躍が期待される分野です。
特定技能と技能実習制度の違いと活用方法
外国人を雇用する際は、対象となる在留資格を理解することが必要です。特定技能と技能実習は、それぞれ異なる目的と対象業種を持ちます。
特定技能の概要と対象業種
特定技能は、即戦力として外国人材を受け入れるための制度で、次のような分野が対象です。
- 介護、外食、建設、宿泊、農業、漁業など
- 一定の日本語能力と技能試験の合格が必要
- 1号は最長5年まで、2号は無期限での滞在が可能
技能実習制度の特徴と対象分野
技能実習は、開発途上国への技能移転を目的とする制度です。対象分野は次の通りです。
- 農業、建設、食品加工、繊維・衣料、金属加工など
- OJTを通じて技能を習得する教育型制度
- 期間は最長で5年間
制度の目的が異なるため、企業は自社の目的に応じて最適な制度を選ぶことが重要です。
外国人採用のメリットと課題を把握する
外国人を雇用することで多くの利点が得られますが、同時に企業側には対応力も求められます。
主なメリット
- 慢性的な人材不足の解消
- 職場の多様性と柔軟性の向上
- グローバル対応力の強化
- 異なる視点からの課題解決力の向上
主な課題
- 言語や文化の壁による誤解・トラブル
- 在留資格管理の煩雑さ
- 教育・研修にかかる負担とコスト
- 労務管理の複雑化とトラブルのリスク
適切な受け入れ体制を整えることで、これらの課題を乗り越え、戦力として活用することができます。
外国人採用に必要な費用の内訳
採用に際して発生するコストはさまざまです。事前に想定しておくことで、予算の管理がスムーズに進みます。
採用時に発生する主な費用
- 人材紹介手数料:30~60万円
- 在留資格申請サポート費:10~20万円
- 渡航・住居準備費:合計25~65万円程度
- 日本語教育費:年間10~30万円
- 保険・健康診断などの生活支援費:月額1万円前後
これらの費用は基本的に企業側の負担となるため、採用前の準備が重要です。
外国人を採用する流れと注意点
スムーズに採用するためには、制度や実務の流れを理解しておく必要があります。
採用までの主なステップ
- 採用計画の立案:対象職種・人数・期間を明確に設定
- 求人活動:人材紹介会社や外国人向け求人サイトの利用
- 選考と面接:文化・言語面の配慮を行う
- 在留資格の確認・申請:専門家のサポートが有効
- 雇用契約・入社準備:日本語・母国語の契約書整備
- 入社後フォロー:定期的な面談や生活支援の実施
初めて外国人を採用する企業は、登録支援機関などのサポートを利用することで負担を軽減できます。
外国人雇用を進める企業が意識すべきこと
外国人材の受け入れは、単なる人手不足対策にとどまらず、企業の持続的成長に大きく貢献する要素です。制度理解と準備を徹底し、多様性を活かす職場環境を整えることで、競争力を高めることが可能です。
- 採用制度や在留資格を正しく理解する
- 社内体制を整え、異文化に対する理解を深める
- 定期的なフォローアップで定着率を高める
将来的に求められるのは、単なる雇用ではなく、外国人が安心して働ける環境づくりです。人材戦略の一環として、外国人雇用を積極的に検討していくことが求められます。


