特定技能制度の導入以降、日本で働く外国人の数は着実に増加しています。特定技能外国人は、深刻な人手不足に直面している産業にとって重要な戦力となっており、今後もその存在感は高まっていくと見られます。
本記事では、特定技能外国人の人数推移を総数・業種別・国籍別・都道府県別に整理し、その背景や今後の展望までを詳しく解説します。採用や制度理解のための基礎情報としてご活用ください。
特定技能制度の目的と基本構造
特定技能は、人手不足が深刻な産業分野に即戦力となる外国人を受け入れるために設けられた在留資格です。制度は2019年にスタートし、労働力確保を目的としています。
特定技能1号と2号の違い
- 特定技能1号:対象は12分野。在留期間は最大5年。単身での就労が基本。
- 特定技能2号:より高度な技能が必要。在留期間の制限なし、家族帯同も可能。
特定技能2号は現在一部分野に限られますが、制度の拡大とともに今後の活用が見込まれています。
特定技能外国人の総数推移
制度導入当初の2020年6月時点ではわずか約6,000人だった特定技能外国人も、2023年6月には17万人を超えるまでに急増しました。この伸びは以下の要因によって支えられています。
- 技能実習からのスムーズな移行
- 日本国内での資格変更を促す制度運用
- 入国制限の緩和による新規流入の増加
このような背景のもと、特定技能は制度として定着しつつあります。
業種別で見る特定技能外国人の受け入れ状況
人手不足が顕著な業界に集中
特定技能外国人は以下の分野で特に多く就労しています。
- 飲食料品製造業:5万人超
- 農業:約2万人
- 介護:2万人超
- 建設業・製造業:それぞれ1〜3万人台
就労者が少ない業種
- 宿泊業
- 航空分野
宿泊業はアフターコロナで訪日外国人の増加が見込まれており、今後の成長分野といえるでしょう。
国籍別の特定技能外国人数の傾向
ベトナムが最も多い理由
特定技能外国人の出身国は、以下のような構成です。
- ベトナム:約97,000人
- インドネシア:約25,000人
- フィリピン:約17,000人
- 中国、ミャンマーなどが続く
ベトナム出身者が多いのは、技能実習で日本に滞在している人数が多く、そのまま特定技能に移行しているケースが多いためです。
今後増加が期待される国籍
- 試験実施国の中でもインドネシア、フィリピン、ミャンマー、ネパールなどでは幅広い分野で受験が可能
- 特にインドネシアでは介護や飲食関連など人気分野の試験が実施されており、今後の増加が見込まれる
都道府県別に見る受け入れ状況の差
都市部に特定技能外国人が集中
2023年6月時点のデータから、以下の都道府県で特定技能外国人の人数が特に多くなっています。
- 愛知県:14,700人超
- 大阪府:10,000人超
- 埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県:9,000人前後
地方とのギャップ
地方では数百人にとどまる県も多く、受け入れ数には大きな地域差があります。
地域差が生まれる理由
- 都市部の方が外国人にとって生活しやすい環境が整っている
- 公共交通機関や生活インフラの充実度に差がある
- 地方では外国人対応の支援体制が不十分なケースも
特定技能外国人が増えている背景
コロナ禍による一時的な帰国困難者の在留資格変更、技能実習からのスムーズな移行、制度の柔軟な運用などが主な理由です。
さらに、2022年10月以降の入国制限緩和により、新規入国者が増加。これにより、2022年から2023年にかけて、特定技能1号の人数が倍増しました。
今後の見通しと課題
増加が続く見込み
- 日本の労働人口減少により、外国人労働者への依存は高まる
- 特に介護・飲食・宿泊業では人手不足が深刻化しており、特定技能外国人の受け入れは必須となる
地域格差への対策が求められる
政府は以下のような対策を講じる予定です。
- 地方での受け入れ促進のための情報提供や支援策の強化
- 特定地域への偏りを防ぐための制度運用の見直し
- 優良事例の全国展開による認知促進
労働力確保における特定技能制度の役割
特定技能制度は、国内の人材不足を補うための中核的な制度として今後ますます重要になります。今後の課題としては、以下の点が挙げられます。
- 地域間の人材分布のバランス
- 外国人が働きやすい職場・生活環境の整備
- 業種ごとの受け入れ基準や支援体制の明確化
まとめ:企業にとって不可欠な制度へ
特定技能外国人は、日本の労働市場において欠かせない存在となりつつあります。業種別・地域別のニーズを把握し、自社の人材戦略に制度を活用することが、今後の経営の鍵となるでしょう。
ポイントの整理
- 特定技能制度開始後、外国人労働者は年々増加
- 飲食・介護・製造などの分野で特に活躍
- 都市部への偏りが課題だが、今後は地方展開も期待
- 国籍ではベトナム、インドネシア、フィリピンが主力
- 制度の活用には受け入れ体制の整備が不可欠
適切な制度理解と受け入れ準備が、今後の人材確保に大きな差を生むことになります。


