外国人労働者の雇用が一般化する一方で、不法就労助長罪による企業への法的責任が注目を集めています。とくに、在留資格や労働条件の確認不足が原因で意図せず違法となるケースも多く、企業には正確な知識と管理体制が求められます。
2025年6月からは罰則も厳格化されるため、リスク回避のためにも適切な対応が欠かせません。本記事では、不法就労助長罪の該当行為や罰則内容、企業が実施すべきチェックポイントについて詳しく解説します。
外国人の不法就労とはどのような行為か
就労資格を持たない労働のリスク
不法就労とは、適正な在留資格を持たない外国人が報酬を得る活動に従事することを指します。具体的には以下のようなケースが該当します。
- 在留資格がない、もしくは期限が切れた状態での就労
- 観光ビザや短期滞在資格でのアルバイト
- 留学生の資格で定められた時間(週28時間)を超える就労
- 在留資格で許可された職種と異なる業務への従事
これらの行為は本人だけでなく、雇用した企業側も処罰の対象となるため、採用時の資格確認が極めて重要です。
不法就労助長罪とは何かを正しく理解する
外国人の不法就労を助長する行為を処罰
不法就労助長罪は、外国人が就労資格を持たない、または資格を逸脱した形で働くことを助けた場合に問われる犯罪です。2025年6月から、以下のように罰則が強化されます。
- 5年以下の拘禁刑
- 500万円以下の罰金
- 両罰併科の可能性もあり
単なる確認ミスであっても、「確認を怠った」という過失があれば処罰の対象となるため、注意が必要です。
不法就労助長罪に該当する典型的な雇用ケース
在留期限を過ぎた外国人の雇用
企業が在留期限切れの外国人を雇用し続けた場合、不法就労助長罪が適用されます。企業には以下のような対応が求められます。
- 従業員の在留カードの有効期限を常に確認
- 更新手続きの状況を把握し、必要に応じて指導
- 雇用管理簿に記録を残し、証跡を保管
就労不可の資格者の雇用
観光、文化活動、短期滞在といった在留資格を持つ外国人には、原則として就労が認められていません。例外として資格外活動許可を得ていれば制限付きで働けますが、企業は以下の点を確認しなければなりません。
- 資格外活動許可証の有無と範囲
- 労働時間の制限(例:留学生は週28時間まで)
- 許可されている職種・業務内容の確認
許可された活動範囲を超える就労
在留資格で認められていない職務に従事させた場合も、違法となります。例えば、料理人としての資格を持つ外国人を工場のライン作業に配置するなどの事例が該当します。企業は業務の内容と在留資格が一致しているかを常に確認する必要があります。
処罰の対象となる関係者とその範囲
雇用主だけでなく周辺関係者も対象に
不法就労助長罪では、実際に雇用した企業だけでなく、間接的に関与した以下のような関係者も処罰の対象となります。
- 不法就労を斡旋・紹介した仲介業者
- 就労の場を提供した請負先企業
- 宿泊施設を提供した事業者
- 偽造書類を保管・作成した関係者
特に「知らなかった」では免責されないため、事前の確認と書類保管が重要です。
企業が行うべき適切な確認と管理の方法
採用前から就労後まで継続的なチェックが必要
企業が不法就労を防ぐために取るべき対応は多岐にわたります。以下に具体的な対策を整理します。
身元確認と本人照合の徹底
- 在留カードの顔写真と本人が一致しているか確認
- カードに記載された滞在資格と期限を確認
- 雇用管理簿に記録し、3年間以上保管
在留カードの真偽を見抜く方法
- 出入国在留管理庁の偽造防止ポイントを確認(ホログラム、色の変化など)
- 専用アプリを用いたICチップの読み取り
- Webサイトを活用したカード番号による失効確認
外国人人材紹介サービスの活用
初めて外国人材を雇用する場合や確認に不安がある場合は、専門の人材紹介サービスの利用が有効です。
- 滞在資格の確認や更新手続きの代行
- 採用前のスクリーニングと背景確認
- 雇用後の定期的なフォロー体制の提供
不法就労助長を防ぐためのポイントを総まとめ
不法就労助長罪のリスクを回避するには、日常的な確認体制の構築が不可欠です。以下に、企業が守るべき基本的な対策をまとめます。
- 採用前に在留資格と就労可能な職種を明確に確認
- 就労開始後も業務内容や労働時間を定期的にチェック
- 在留カードの確認と保管は厳格に行う
- 不安な点は専門機関や人材紹介サービスに相談
企業がこうした対応を怠れば、重大な法令違反となり、罰則や社会的信用の失墜を招く恐れがあります。
まとめ
外国人労働者の雇用は、今後も多くの業界で重要な役割を果たしますが、それに伴う法的リスクも無視できません。不法就労助長罪は「知らなかった」では済まされない厳格な制度であり、企業には法令理解と確認体制の強化が求められます。
とくに在留カードの真偽確認や業務内容の適合性チェックは、日常的に実施すべき基本業務です。専門機関の支援を活用しながら、適切な外国人雇用を実現していくことが、企業の持続的な発展にもつながります。


