特定技能制度を利用して外国人を雇用する企業には、四半期ごとに定期報告を提出する義務があります。報告では、外国人の雇用状況や支援の実施状況、賃金などが正しく管理されているかが確認されます。提出漏れや誤記があると、今後の受け入れに影響が出るため、制度理解と適切な書類作成が不可欠です。
本記事では、報告書類の具体的な内容や提出方法、業務負担を軽減するための支援機関の活用方法などを詳しく解説します。
特定技能の定期報告が求められる理由と背景
特定技能は、日本国内の人手不足を補うための制度です。受け入れる企業には、外国人が適切な労働環境で働けているかを定期的に報告する義務が課されています。
報告義務を怠ると制度の信頼性が損なわれ、企業にも不利益が生じるおそれがあります。
定期報告の目的は以下の通りです
- 外国人労働者の就労状況や報酬の透明性を確保する
- 不適切な労働条件やトラブルの未然防止
- 企業の管理体制が整っているかを確認
この報告は、制度の適正な運用を支える重要な仕組みのひとつです。
特定技能の定期報告で必要な書類一覧
定期報告で提出が求められる書類は、支援体制によって異なります。自社で支援を行っているか、登録支援機関に委託しているかに応じて準備する書類が変わります。
自社支援をしている場合に必要な書類
- 受入れ・活動状況に係る届出書
- 特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
- 支援実施状況に係る届出書
- 1号特定技能外国人支援対象者名簿
- 賃金台帳(外国人・日本人分)
追加で求められる可能性のある書類
- 相談記録書
- 定期面談報告書(外国人・監督者用)
- 転職支援実施報告書
- 支援未実施に係る理由書
登録支援機関に委託している場合の書類
- 受入れ・活動状況に係る届出書
- 特定技能外国人の受入れ状況・報酬の支払状況
- 賃金台帳(外国人・比較対象となる日本人)
場合によって必要になる書類
- 報酬支払証明書(現金払い時)
- 理由書
四半期ごとの提出スケジュールと注意点
報告は年4回、以下の期間に提出する必要があります。
| 対象期間 | 提出期限 |
|---|---|
| 1月~3月 | 4月1日~15日 |
| 4月~6月 | 7月1日~15日 |
| 7月~9月 | 10月1日~15日 |
| 10月~12月 | 翌年1月1日~15日 |
報告時の注意点
- 提出遅延や未提出は制度利用停止の原因に
- 内容に誤りがある場合は補正して再提出が必要
- 「次回から受け入れができなくなる」可能性も
定期報告を確実に実施することで、制度を継続的に活用できます。
電子届出システムによるオンライン提出の方法
電子提出のメリット
- 24時間365日利用可能
- 書類の送付手間が不要
- 進捗確認や修正対応がスムーズ
電子提出の準備手順
- 「出入国在留管理庁電子届出システム」から利用者情報登録届出書をダウンロード
- 本人確認資料を添付し、窓口または郵送で提出
- ログインIDとパスワードを受領後、システム利用開始
事前準備が必要なため、余裕を持って対応しましょう。
届出書に含める具体的な記載内容
受入れ・活動状況に係る届出書の記載事項
- 受入企業の基本情報
- 雇用状況、労働・社会保険加入状況
- 税金の納付状況、安全衛生管理の有無
- 該当期間中の人数や支出金額など
フルタイム従業員を対象とし、該当がない項目には「0」を記載する必要があります。
報酬支払状況の記載ポイント
- 支給総額、支給日、手取り額
- 在留カード番号や住居地など個人情報
- 日本人との賃金比較情報(比較対象者A/B)
比較対象者の台帳も必ず添付しましょう。
定期報告時の実務上の注意点
書類の署名に関する注意
- 作成者の署名は企業役員が行う
- 作成責任者と署名者が別でも可
- 外部委託時でも署名は企業側で対応
在籍期間が短い場合の対応
- 数日の在籍でも記載が必要
- 自己判断で省略すると虚偽報告とみなされる可能性
登録支援機関の活用で業務負担を軽減する方法
登録支援機関の役割と対応範囲
登録支援機関は、以下のような支援を代行してくれます。
- 支援計画の策定と実施
- 外国人との定期面談・生活支援
- 書類作成と報告の代行
企業側の負担を大幅に軽減できるのがメリットです。
登録支援機関選定時のチェックポイント
- 実績と対応可能な業務範囲
- 国内在住者の紹介実績の有無
- 明確で継続可能な料金体系
複数人の外国人を受け入れている場合は、業務負担も比例して大きくなります。適切な機関を選ぶことで、事務負担を抑えることができます。
まとめ
特定技能外国人を雇用する企業には、四半期ごとの定期報告義務があり、適切な運用が求められます。書類作成や提出には細かいルールがあり、誤りや遅れは制度利用停止につながるリスクもあります。
登録支援機関の活用や専門家への相談も視野に入れ、制度を安全かつ継続的に活用する体制を整えていきましょう。


