外国人採用に必要な書類と手続きの全体像

外国人を雇用する際には、日本人採用とは異なる法的要件や手続きが多く存在します。特に在留資格や労働条件に関する確認は、採用前後で重要なポイントです。また、国内在住か国外在住かによって準備すべき書類も変わり、企業側にも一定のサポート体制が求められます。

本記事では、外国人採用時に必要な書類や手続き、注意点までを体系的に解説します。採用の流れをスムーズに進めるための参考にしてください。

外国人採用前に確認すべき重要ポイント

採用職種と在留資格の整合性を確認する

外国人の就労は、取得している在留資格の範囲内に限られます。希望する職種が対象業務でない場合、資格変更が必要になるため、採用前の確認が不可欠です。

チェックポイント

  • 採用職種が該当する在留資格であるか
  • 就労ビザの取得や変更が可能かどうか
  • 採用候補者が国内在住か国外在住か

在留資格取得の見込みを事前に確認

採用後にビザ申請が認められなかった場合、雇用そのものが無効になるリスクがあります。応募者が就労可能な在留資格を取得できるか、早期に判断しましょう。

応募者の居住地で手続きが異なる

国内在住者の場合

  • 在留資格の変更や更新が必要なケースあり
  • 不法滞在リスクの確認も含めて在留カードを必ず確認

国外在住者の場合

  • 「在留資格認定証明書」の取得手続きが必須

国内在住外国人の雇用に必要な手続きと書類

在留資格変更申請に必要な主な書類

外国人本人が申請を行いますが、企業側も多くの書類を準備する必要があります。

外国人が準備する書類

  • パスポート
  • 在留カード
  • 履歴書(学歴記載)
  • 卒業証明書・成績証明書
  • 写真(縦4cm×横3cm・3ヶ月以内撮影)

企業側が準備する書類

  • 登記事項証明書
  • 定款
  • 直近の決算書
  • 会社案内(Webコピーでも可)
  • 雇用契約書・雇用理由書

在留資格変更の申請と審査期間

提出先は居住地を管轄する地方出入国在留管理局。審査期間は通常2週間〜1ヶ月で、混雑状況により延びることもあります。スムーズな採用に向けて、早めの準備が重要です。

海外在住外国人を採用する際の手続き

在留資格認定証明書の取得が必要

国外から採用する場合、まず企業側が「在留資格認定証明書」を取得し、それを基に外国人本人がビザを申請します。

外国人が用意する書類

  • 卒業証明書・職務経歴書
  • 写真(3ヶ月以内)

企業側が用意する書類

  • 雇用契約書
  • 登記事項証明書
  • 定款
  • 決算書
  • 会社案内(パンフレットまたはWebサイト写し)
  • 雇用理由書

オンライン申請の活用で効率化

申請や証明書の交付はオンラインでの対応が可能です。電子メールで証明書を受け取り、外国人本人に転送することで、郵送の手間や費用を省けます。入国後の在留手続きもオンラインで進めることができ、全体の時間短縮につながります。

雇用契約書の作成と労働条件通知の注意点

多言語対応と明確な内容の記載が必須

契約書は内定後、必ず外国人が理解できる言語で作成します。誤解を避けるため、書面だけでなく口頭での説明も行うことが大切です。

契約書に明記すべき内容

  • 勤務地・業務内容・給与・労働時間
  • 停止条件(在留資格取得を前提とする契約)
  • 雇用開始日と終了条件

ポイント

  • 双方で1通ずつ保管する
  • 翻訳文を添付する場合も、読み合わせを実施する

採用後に行う義務的な届け出と手続き

ハローワークへの外国人雇用状況届出

外国人を採用・離職させた場合は、ハローワークへ届出が必要です。雇用保険の有無で提出書類が異なります。

雇用保険加入者の場合

  • 雇用保険被保険者資格取得届を提出

非加入者の場合

  • 外国人雇用状況届出書を提出

届出項目

  • 氏名・在留資格・在留期間
  • 国籍・性別・生年月日
  • 雇用日・離職日・資格外活動の有無

届け出は電子申請も可能で、期日は翌月10日または月末まで(ケースによる)。未届や虚偽申告には最大30万円の罰金が科されることもあります。

中長期在留者の受入れ届出

外国人雇用状況届出の対象外であっても、特定の中長期在留者を受け入れる場合は法務省への届出が必要です。インターネット申請が可能で、利便性が高まっています。

在留資格の更新手続きの重要性

在留資格の有効期限が切れると不法滞在となり、企業にもリスクが及びます。更新は有効期限の3ヶ月前から可能です。

社員本人に任せきりにせず、定期的に確認する体制を整えましょう。

外国人雇用時に注意すべきリスクと対応策

在留資格で認められた業務に限定する

在留資格外の業務に就かせると、不法就労助長罪に問われる恐れがあります。明確な職務定義と社内共有が重要です。

就労資格証明書の活用

就労資格証明書は、業務内容と在留資格の適合性を示す証明書です。法的義務はありませんが、採用時や業務変更時に取得しておくことで、後のトラブルを防げます。

注意点

  • 審査に最大3ヶ月かかる
  • 記載ミスによる再申請の可能性あり

同一労働同一賃金と最低賃金の遵守

外国人労働者にも労働基準法や最低賃金法が適用されます。適切な労働条件を設定していないと、在留資格の認定が下りない場合もあります。

外国人採用は準備と計画が成功の鍵

外国人の採用には多くの準備が必要ですが、事前に必要な書類や手続きを把握し、社内体制を整えることで円滑に進めることが可能です。

国内・国外在住の別に応じた対応、在留資格の管理、雇用契約書の整備を徹底し、適切な人材確保につなげていきましょう。採用後もフォローアップを怠らず、外国人が安心して働ける職場づくりを心がけることが重要です。