外国人採用に向けた特定技能「自動車整備」の制度と流れ

自動車整備業界では整備士の高齢化や若年層の減少により人手不足が深刻化しています。この問題を解決するため、外国人の受け入れを可能にする「特定技能」制度が導入されました。中でも自動車整備分野は、特定技能制度の対象として需要が高まっており、多くの企業が活用を始めています。

本記事では、特定技能「自動車整備」の基本情報、制度の仕組み、採用までの手順や必要な費用について、わかりやすく解説します。

特定技能「自動車整備」の基本的な仕組み

外国人が従事できる整備業務の内容

特定技能「自動車整備」を取得した外国人は、以下のような業務に従事できます。

  • 日常点検整備(オイルやブレーキの状態確認など)
  • 定期点検整備(ブレーキ・走行装置・動力装置の確認)
  • 分解整備(エンジン、クラッチ、トランスミッションの整備)

これらに加えて、洗車や部品運搬などの関連作業も可能ですが、これらのみを担当させることはできません。

雇用形態や受け入れ人数

  • 雇用形態: 直接雇用(派遣不可)
  • 報酬条件: 日本人と同等以上
  • 受け入れ枠: 制限なし(国の5年目標は6,500人)

特定技能「自動車整備」が導入された背景

整備士の不足が制度設計の出発点

自動車整備業界では、以下のような要因で人材確保が困難になっています。

  • 若年層の車離れによる応募者減少
  • 高齢化による整備士の大量退職
  • 有効求人倍率が他業種の3倍以上

こうした状況を受けて、自動車整備業も特定技能の対象分野として加えられました。即戦力となる外国人材の活用が、現場維持の鍵とされています。

特定技能1号と2号の違いと活用方法

在留期間や待遇の違いに注意

区分特定技能1号特定技能2号
在留期間最大5年(更新制)制限なし(更新可)
支援体制必須不要(自己対応)
家族の帯同不可条件付きで可能
技能レベル一定の専門知識と実務経験熟練技能+指導力
日本語試験必要不要(試験合格者は除外)

1号では短期的な即戦力としての活用が見込まれ、2号では長期雇用や定着支援が可能です。今後の人材戦略によって、1号から2号への移行も視野に入れることが重要です。

外国人を受け入れる企業が満たすべき要件

認証工場であることが前提条件

外国人を特定技能で受け入れるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 地方運輸局長の認証を受けた「認証工場」であること
  • 自動車整備分野特定技能協議会の構成員として登録・協力
  • 外国人支援体制(支援計画)の策定と実施

支援内容の具体例

  • 渡航前・到着後の生活ガイダンス
  • 住居探しや生活インフラの契約支援
  • 行政手続きや医療機関同行
  • 日本語学習の場の提供
  • 相談窓口の設置や交流促進

支援は自社で対応できない場合、登録支援機関に委託することが可能です。

資格取得に必要な条件と試験内容

特定技能1号の取得ルート

以下のいずれかを満たすことで、特定技能1号の取得が可能です。

  • 特定技能評価試験(学科・実技)と日本語試験に合格
  • 技能実習2号を良好に修了した者(試験免除)

特定技能2号の取得要件

  • 自動車整備士技能検定2級 または
  • 特定技能2号評価試験に合格
  • 認証工場での3年以上の実務経験

試験の概要

試験内容学科試験実技試験
問題数30問3課題
試験時間60分20分
合格基準65%以上60%以上

試験は日本語で実施され、漢字にはふりがながついています。合格後は、申請に進むことが可能です。

外国人整備士の採用プロセス

国内外で異なる採用フローに注意

採用手順国内在住者を採用する場合海外から受け入れる場合
面接・契約オンラインまたは対面同左
雇用契約締結締結
支援計画企業が策定企業が策定
在留資格申請在留資格変更許可申請認定証明書交付申請 → ビザ取得
就労開始資格変更後に勤務開始来日後に勤務開始

手続き完了までに4〜6か月かかるケースが多いため、採用活動は早めに始めることが推奨されます。

採用にかかる主な費用項目

採用にかかるコストの内訳

費用項目国内採用の場合海外採用の場合
人材紹介手数料約30〜60万円
送り出し機関手数料約20〜60万円
登録支援機関の委託費約2〜3万円/月約2〜3万円/月
在留資格申請サポート費用約10〜20万円約10〜20万円
在留期間更新申請費用約5〜15万円約5〜15万円

費用は人材紹介会社や支援機関ごとに異なります。見積もりを複数取得して比較することが大切です。

長期的な人材確保を目指すなら早期導入が鍵

外国人の特定技能を活用することで、自動車整備業界の人材不足を根本的に解消する手段が広がります。短期間の雇用に留まらず、特定技能2号の取得による長期雇用も可能になったことで、戦略的な人材計画の立案が重要になっています。

特定技能「自動車整備」を正しく理解し、計画的に導入することで、企業の持続的な成長と人材の安定確保が実現できます。