外国人労働者を雇用する際には、日本人雇用にはない独自の手続きが必要となります。その一つが「外国人雇用状況届出書」です。事業主は雇用・離職時にこの届出を行わなければならず、違反すると罰則の対象になる可能性もあります。
本記事では、届出が必要となる対象者や提出の流れ、注意点、オンライン申請の方法など、実務で役立つ情報を詳しく解説します。正しく理解して確実に対応しましょう。
外国人雇用状況届出書の目的と必要性
外国人雇用状況届出書は、外国人労働者を雇用した事業主が、国へ雇用状況を報告するための届出です。
日本の労働市場の健全な維持と、外国人労働者の適切な雇用管理を目的としています。雇用形態にかかわらず提出が必要で、未提出や虚偽の記載には罰金が科されるため、非常に重要な手続きです。
外国人雇用状況の届出が必要な対象者
届出の対象となる外国人労働者は、以下の在留資格を除くすべての外国籍の人です。
対象外となる在留資格
- 「外交」「公用」の在留資格保持者
- 特別永住者
これらの方は、外国人雇用状況届出書の提出義務が免除されます。その他の在留資格保持者を雇用する際には、届出が必要です。
外国人雇用状況届出書の提出方法
届出方法は主に以下の2つから選択できます。業務の効率化のためにも、それぞれの特徴を理解し、自社に合った方法を選びましょう。
オンラインでの提出方法
- 24時間365日利用可能
- 厚生労働省の「外国人雇用状況届出システム」を利用
- 雇用保険適用事業所番号がなくても利用可能
申請手順としては、仮登録→本登録→ログイン後に雇用情報を入力し、事業所を管轄するハローワークを選んで提出する流れです。電子公文書が登録アドレスに送信されるので、確認と保管を忘れずに行いましょう。
ハローワーク窓口での提出方法
- オンライン利用登録がない場合に対応
- 管轄のハローワークに直接提出
- 書類の様式に注意(最新様式を使用)
窓口で申請を行った経験がある場合、オンラインで新規登録できないこともあるため、移行希望時には再登録の手続きが必要です。
雇用保険の加入有無による手続きの違い
雇用保険加入の場合
雇用保険に加入している外国人労働者については、「雇用保険被保険者資格取得届」を提出することで、外国人雇用状況の届出を兼ねることができます。
必要な記入情報
- 氏名・生年月日・性別・国籍
- 在留資格・在留カード番号・在留期間
- 資格外活動許可の有無(在留カード裏面を確認)
e-Govからのオンライン申請が可能で、提出後には雇用保険被保険者証や通知書をダウンロードして保管・本人に交付します。
雇用保険未加入の場合
雇用保険に加入しない外国人を雇用する場合は、「様式第3号電子媒体」へ必要事項を記入し、提出が必要です。
記入項目の一例
- 氏名
- 国籍・性別・生年月日
- 在留資格・在留期間・資格外活動の有無
- 在留カード番号
- 雇用開始日または離職日
書類はハローワークへの郵送または窓口提出が必要ですが、オンラインでの申請も可能です。
在留カード確認時の注意点とリスク対策
在留カードは、外国人の在留資格・期間などを証明する重要な書類です。届出作成時には、必ず提示を受け、以下の点を確認する必要があります。
- 在留資格が就労可能なものであるか
- 在留期間が有効であるか
- 偽造カードでないか
偽造カードのリスクに備え、法務省が提供するチェックポイント資料なども参考にしましょう。また、在留カードのコピー提出は不要ですが、取り扱いには十分な配慮が必要です。
雇用形態を問わない届出義務の適用範囲
正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員などの非正規雇用者も届出対象です。加えて、派遣社員を雇用する場合は、派遣元の企業が届け出を行う義務を負います。
届出が必要なケース
- アルバイトとしての採用
- 契約社員・短期雇用
- 実質的に雇用関係がある委託契約
雇用形態によって届出の要否を判断しないよう注意しましょう。
提出忘れや虚偽記載に対する罰則
届出を怠った場合や、内容に虚偽がある場合は罰則が科せられます。特に、提出日をごまかすような事後修正は重大な違反行為となります。
罰則の例
- 一人あたり最大30万円の罰金
- 虚偽記載も同様に罰金対象
- 不法就労助長罪に問われるリスクも
届出内容にミスがあった場合は、自主的にハローワークへ相談・修正を行うことが重要です。
離職時の外国人雇用状況届出の対応
外国人労働者が退職・契約終了した場合も、雇い入れ時と同様に届出が必要です。
離職時の提出書類
- 雇用保険加入者:資格喪失届
- 未加入者:外国人雇用状況届出書(離職用)
提出期限を過ぎると罰則の対象となるため、早めの対応が求められます。
提出期限の目安
| 労働者の区分 | 雇入れ | 離職 |
|---|---|---|
| 雇用保険加入 | 翌月10日まで | 退職後10日以内 |
| 雇用保険未加入 | 翌月末まで | 翌月末まで |
外国人雇用に必要な届出を確実に行うために
外国人労働者の雇用は、手続きの煩雑さから見落とされがちですが、法令遵守のためには正確かつ迅速な対応が求められます。特に、在留資格の確認や届出内容の正確性、提出期限の管理は徹底して行う必要があります。
届出で押さえるべきポイント
- 在留資格を事前に確認
- 雇用保険の加入状況に応じた手続きを選択
- 届出は雇用・離職の両方で必要
- オンライン申請の活用で手間を軽減
- 虚偽記載・未提出は罰則対象となる
外国人雇用のルールを正しく理解し、企業としての法的リスクを回避する体制を整えましょう。提出漏れや誤記載がないよう、社内での確認体制やフローを事前に決めておくことも有効です。


