外国人材の受け入れを検討する際、「特定技能」と「特定活動」の違いを理解していないと、採用や在留資格の手続きで混乱が生じる可能性があります。どちらも在留資格の一種ですが、目的や対象、在留期間、就労の可否などが異なります。
本記事では、それぞれの制度の特徴と、具体的な使い分けのポイント、資格変更時の注意点を詳しく解説します。制度の違いを把握することで、より円滑に外国人材を活用することが可能になります。
特定技能は労働目的の在留資格
特定技能は、日本国内の深刻な人手不足を解消するために設けられた在留資格です。即戦力として働ける外国人に対して、一定の分野での就労を認めています。
特定技能で認められている分野
現在、特定技能の対象となるのは以下の12分野です。これらの分野に限って外国人労働者の受け入れが認められています。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材産業
- 産業機械製造業
- 電気・電子情報関連産業
- 建設業
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊業
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
※製造業系の3分野(素形材・産業機械・電気電子情報)は細分化されており、実質14業種に分類されています。
特定技能1号と2号の違い
特定技能には1号と2号があり、それぞれ以下のような違いがあります。
特定技能1号:
- 技能水準:一定の知識・経験が必要
- 在留期間:最長5年(1年・6カ月・4カ月ごとの更新)
- 家族帯同:不可
- 永住資格:対象外
特定技能2号:
- 技能水準:より高度で熟練した技能
- 在留期間:更新可能(上限なし)
- 家族帯同:可能(条件あり)
- 永住資格:対象となる可能性あり
特定活動は目的に応じて柔軟に対応できる制度
特定活動は、既存の在留資格に当てはまらない活動を行う外国人に対して、法務大臣の個別判断で与えられる在留資格です。活動の幅は非常に広く、労働を含むものから就労不可のものまで多様です。
特定活動の主な区分と対象
特定活動は主に3つのタイプに分類されます。
1. 法令に基づく特定活動(制度上の在留資格)
- 特定研究活動
- 特定情報処理活動
- それらに伴う家族の活動
2. 告示特定活動
- ワーキングホリデー
- インターンシップ
- アマチュアスポーツ選手 など
3. 告示外特定活動(特例的措置)
- 帰国困難者の滞在延長
- 求職活動中の滞在
- 特定技能への移行準備期間 など
特定活動で就労可能なケース
就労が認められるかどうかは活動内容によって異なります。たとえば、大学卒業後の就職活動や、退職後の求職活動中など、一部の活動では労働が認められるケースもあります。
特定技能と特定活動の主な違いまとめ
| 比較項目 | 特定技能 | 特定活動 |
|---|---|---|
| 目的 | 労働力確保 | 幅広い活動の支援 |
| 対象分野 | 12分野14業種 | 活動ごとに異なる |
| 就労可否 | 可 | 内容による |
| 在留期間 | 1号:最長5年 2号:制限なし | 最長5年(個別指定) |
| 家族帯同 | 1号:不可 2号:条件付きで可 | 内容による |
| 永住権 | 2号で条件を満たせば可能 | 原則対象外 |
特定技能への在留資格変更をスムーズに行うには
外国人が特定活動から特定技能へ変更する際は、一定の条件を満たし、必要な書類を提出する必要があります。
在留資格変更に必要な主な条件
- 特定技能に移行できない正当な理由がある
- 受入れ機関が特定技能に該当する業務を行っている
- 同等の報酬を得られる雇用契約がある
- 技能試験・日本語試験に合格している
- 生活支援体制が整っている
必要書類一覧
- 在留資格変更許可申請書
- 顔写真(縦3cm×横4cm)
- パスポート・在留カード
- 雇用契約書、業務内容の説明書
- 試験合格証明書(免除対象者はその証明)
注意点
- 書類は発行から3カ月以内のものを使用
- 外国語の書類には日本語訳が必要
- 第三者が申請する場合は身分証明書が求められる
特定活動が活用される主なケース
以下のようなケースでは、特定活動の在留資格が一時的に活用されます。
特定技能への移行準備中
- 技能実習終了後、特定技能試験の準備中
- 留学後、就職活動中(最大1年の延長が可能)
退職後の求職活動期間
- 前の在留資格では更新できないため、6カ月間の特定活動資格を取得
帰国が困難な場合の一時滞在
- 自然災害や感染症の影響により帰国できない状況下での雇用継続や滞在延長措置
外国人材活用のために制度理解を深めることが重要
特定技能と特定活動は、どちらも日本での滞在を認める在留資格ですが、制度の目的や対象、就労範囲などが大きく異なります。採用担当者や受け入れ機関は、制度の違いを理解したうえで、状況に応じた在留資格の選定・変更を行う必要があります。
適切な制度の選択は、外国人本人のキャリア形成だけでなく、企業の安定的な人材確保にもつながります。


